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鋼の心 ~Eisen Herz~ 用語集 ああ~、斉藤センセがメイド服に着替えてる~っ!! アイゼン アミバ アルストロメリア 居合い抜き 伊藤組 伊東美空 イチャラブ展開 ウイングユニット 運 運転免許 エグゼブレイカー(↓→P) エスカレーター お出かけ袋 お花畑 お姫様抱っこ 音響センサー 音響兵器 か火器管制プログラム 角砂糖 刀 カトレア カスタム ガトリングガン 眼球同軸光線砲 機械脚 騎士 キャノン砲 筐体 クオーター 愚民 撃墜 極道 さ斉藤浅葱 CSC 島田雅 島田祐一 銃声 自立型支援兵器 スクール水着 ストレリチア スナイパーライフル スラスター セタ 戦闘機 た大気圏離突入 弾道計算 着弾観測 直感 デルタ トラップ ドリル な忍耐 はバーニア ハインド 化け猫 バット バトルロイヤル 花の四姉妹 パワーアーム パワーダイブ ハンドガン 飛行型神姫 土方真紀 土方京子 標準装備 ブーゲンビリア フェータ フライパス ブラックアウト ホッケーマスク ホバリング まマスター マヤア 巫女 みこみこナース ミサイル 美空のポシェット(鉄板入り) 京子のバイク 村上衛 メイド メガスマッシャー メンテナンス や槍 要塞さん 予測射撃 らリーナ・ベルウッド 榴弾 レーザー レーザーソード レールガン レライナ わわさび あ あ~、斉藤センセがメイド服に着替えてる~っ!! アミバのトップを防ぐ呪文。 村上衛を召喚する為に使用する。 魔方陣、及び魔力を必要とせず、即座に対象を召喚できる、クラスにしてEXレベルの儀式魔術。 最早魔法と呼んでも差し支えない魔術式だが、村上衛の召喚にしか効果が無いのが難点。 アイゼン アミバのトップを防ぐ主役神姫。 タイプはストラーフ。マスターは島田祐一。 俗称アイゼンさん。 無表情の無口っ娘。 突飛な言動が一部(主に祐一)から恐れられている。 アミバ 自称天才。 メイドの土産を持っている。 因みにある意味で最強のキャラ、鑢七実の下位互換機種。 アルストロメリア 京子の神姫、花の四姉妹の次女。 超回避能力を持つ高機動型神姫。 姉妹中、攻撃力は最弱だが戦闘力は最強と言うトンでも神姫。 と言うより、他の姉妹が偏り過ぎなだけ。 姉妹の仲では真っ当に強いタイプ。 居合い抜き 鞘から刀身を引き抜く動作を、そのまま攻撃に繋げる一種の剣技。 元来は不意の襲撃に対する後手として考案されたが、抜刀時の剣速とそれがもたらす威力に着目し、業(ワザ)として昇華されたもの。 踏み込みと同時には行えない(威力が激減する)という欠点こそあるものの、迎撃、及び近接戦闘に対しては究極といって良い攻撃手段となる。 余談だが、フェータは飛行と組み合わせる事で“移動しながらの抜刀”と言う反則技を可能としている。 伊藤組 伊東美空の実家。 極道屋さんであり、不動産、建築業を生業としている。 美空はそこの娘さんである為、ある意味では社長令嬢。 因みに合言葉は『絶好調』。 結局の所、変態の集団。 伊東美空 勝気で強気な女の子。フェータのマスター。 暗く重い過去など何処吹く風で今日も暴れる暴走娘。 緋室灯に匹敵し得る料理の才能を有する。 イチャラブ展開 浜辺でサンオイルを塗る。食べさせっこをするなど、恋人同士で行うむつみ事全般。 女の子の夢であると同時に、男の子は何故か嫌がる傾向にある。 永遠の謎。 ウイングユニット 神姫に飛行能力を付加する為の装備。通常は背面にバックユニットとして装備される。 重量制限が厳しく、武装や装甲を切り詰めねばならない為、戦闘能力に大きな制限がつく。 その反面、圧倒的な機動力と回避力を得ることが出来、1対1の戦闘においては多大なアドバンテージを得られる。 バトルロイヤルでは敬遠されがちな装備だが、使いこなせばある種の極致へ到達することも可能。 運 最強のパラメータ。 これが極めて高いと、それだけで無敵である。 島田雅の運の良さはラッキーマンの数万倍にのぼると言う。 運転免許 国家から自動車の運転と言う技術を行使する事を認められた証。 国家の定める道路交通法に違反した場合、取り消される事がある。 何故か、『鋼の心』内の女性キャラ(大人限定)は、全員危険な運転の常習犯。 エグゼブレイカー(↓→P) 鉄山なんとか。 肩から行う体当たりと言うのが端的な説明。 ゼロディバイドと言うポリゴン格闘ゲームで、主役各である攻性プログラム『ゼロ』が得意とする技。 伊藤美空が本能的に使用する。 エスカレーター 動く階段。 と言ってもキャタツラーの事ではない。 もちろん歩いたり噛み付いたりもしない。 エレベーターと言い間違えやすい。 コンセントがあったら触ってはいけない。特にアヴドル。 リーナが苦手なもの。 お出かけ袋 アイゼンが外出の再に持ち歩くポーチ。 中にはパソコンと接続する為のUSBケーブルや、簡易クレイドルなどが入っている。 因みに魔窟であり、中に何が入っているのか正確に把握しているのはアイゼンだけ。 お花畑 キャッキャウフフの舞台。 或いはあの世。 死んだバァちゃんの団体さんが手招きしてたりする。 お姫様抱っこ 女の子の夢。 体重に自信が無いとねだれない。 せがまれたら男はなんとしても完遂するべし。 頑張れ、男の子! 音響センサー 音で探知する索敵装置。 静粛性を重視した神姫は稀である為、非常に有効な索敵装置として機能する。 『鋼の心』ではセタやデルタが装備しているが、彼女達のセンサーは非常に高性能で、神姫そのものの稼動音を探知できる為、理論上あらゆる神姫を索敵可能である。 音響兵器 神姫の武装の一種。 中枢部の制御機構と共振する音波を放射する事で、不回避攻撃を行う。 威力面で難が有るものの、装甲防御を無視できる特性から重量級の神姫には極めて有効な武器の一つ。 音波振動を収束して放つメーザーとは似て非なるモノ。 か 火器管制プログラム 神姫に銃火器を使用させるためのプログラム。 銃器の使用方法から分解整備などのマニュアルをも含む。 角砂糖 マヤアの好物。 彼女を買収するのに極めて有効。 …と言うか、食べ物なら何でもOK。 刀 日本刀の俗称。 神姫の武装としても一般的な物の一つだが、扱いこなすには習熟が必要。 切断力に長け、熟練の神姫が扱った場合、鉄板すら容易に切断する事が可能だが、少しでも太刀筋を違えると折れる危険性もある。 この武器を扱う神姫は(見た目だけで使用しているのでなければ)、熟達の剣技を有する事が殆どであり、ほぼ確実に強敵である。 カトレア 京子の神姫。花の四姉妹の長女。 良識的で常識的な思考の持ち主。 元々は村上衛の神姫だった。 尚、他の姉妹はカトレアにちなんで、最後が『ア』で終る花の名前、を名乗っている。 つまり、本名なのはカトレアだけ。 カスタム 改造の意味。 パーツの交換から調整、自作まで様々な段階が存在する。 ガトリングガン 3~8本の銃身を束ねて使用する事により、銃身の冷却を容易にした機関銃の一種。 トリガーを引いてから発射までにタイムラグがある事や、最初の数発が拡散してしまうなどの特徴がある。 また、機構上大型になる傾向があるものの、威力そのものは単銃身の機関銃より大きい場合が殆ど。 作中ではヴァッフェバニーのミニガンなどもガトリングガンと呼ばれているが、これは祐一がそう呼称している為。 眼球同軸光線砲 視線と同軸で放たれる破壊光線。 漫画家、永野護の漫画、ファイブスターストーリーズの8巻でヤクトミラージュが披露した武器。 同作品では珍しいMH(モーターヘッド)が使用する飛び道具攻撃の描写であり、一撃で敵陣を焼き払い、直撃させればMHをも一撃で破壊する強力な武器。 如何でも良いが、これを使用した後のパルテノ(搭乗者)のシーンは大爆笑ものだと思う。 それでも血の十字架は攻撃してないあたり、パルテノもファティマだな、と思ったりもした。 機械脚 神姫素体の脚部を丸ごと換装するタイプのレッグユニット。 通常のブーツタイプ(素体脚に履くタイプ)よりも特化した性能を持つ事が多い。 例外的に、フォートブラッグのバックユニットには展開式の機械脚が装備されており、砲撃時の安定性を向上させる役割を担っている。 騎士 サイフォスの俗称。 或いは正々堂々とした戦闘を行う神姫の一部がこう呼ばれる。 キャノン砲 様々な種類があるが、基本的に大口径の射撃武器の総称として使用される。 着弾点で爆発し、広範囲を攻撃する榴弾。弾体を直撃させ、運動エネルギーで攻撃する徹甲弾等が代表的。 因みに砲身内に螺旋状のライフリングがある物をライフル砲。無い物を滑空砲と呼ぶ。 徹甲弾、榴弾、散弾等を打ち分けられる滑空砲が現在では主流であり、戦場では多く見られる。 筐体 武装神姫で用いる場合は、神姫バトル用のステージ、或いはバーチャルバトルへのエントリーポッドの事。 クオーター 四分の一の意。転じて四分の一外国人の血が混じっている人を指す。 『鋼の心』では美空とリーナが該当する。 因みに、彼女達の母親が日本人と英国人のハーフの姉妹である為に、彼女達は従姉妹同士。 尚、美空は日本人3/4、英国人1/4。 リーナは日本人1/4、英国人3/4のクオーター。 愚民 愚かな民。転じて一般大衆。 個々は優秀な人間であっても、群れると必ず愚衆化するのは人類の性。 この言葉を使うと偉そうに見える。 引っこ抜かれて、戦って、食べられる謎の生物、ピクミンではない。 撃墜 本来は航空機が飛行能力を喪失させられ、墜落する事を言う。 転じて神姫が戦闘不能になる(させる)事を指す。 極道 美空の実家の商売。 道を究めた漢たちの集団である。 なお、女の中にも漢は居る。という名言も存在する。 伊藤組を参照の事。 さ 斉藤浅葱 高校教師にして『鋼の心』最強のキャラ。マヤアのマスター。 巨乳の美人さんだが、常識は全く通用しない。 CSC 神姫の中枢部にセットされる一種のコンピュータチップ。 一度起動してしまうと不可分であり、外す事は神姫の死を意味する。 あるいは『鋼の心』に登場する精神病の一種。 感情及び記憶の喪失と引き換えに思考能力の拡大を得る症状。 島田雅 超絶ロリっ娘。でも二十歳超えている。 祐一の姉にして、セタのオーナー。 運が良い。とても、凄く。 実は幼い頃高熱を出して死に掛け、成長が止まっているのはその後遺症。 と言う少し重い裏設定がある。 島田祐一 一応主人公。アイゼンのマスター。 女の子から無条件に好かれるフラグメイカー。 でも立てるだけ。 女顔で時折性別を間違われる事も。 実はアイゼンに教える為、ある武術を習得しているが滅多に使わない。 ……美空に殴られた時の受身以外は。 無いと死ぬし。 銃声 銃が喋る時の声。 …では無く、銃の発射音の事。 サイレンサーを付ける事で緩和されるが、映画などのように無音になる事は無い。 マズルフラッシュ(発射時の閃光)と並び、銃器の隠密性における弱点の一つ。 自立型支援兵器 通常はぷちマスィ~ンズの事。 本体からの大まかな指令で行動する自己判断する戦闘ユニット。 ファンネル、ビット等もこれに含まれる。 殆どの場合、神姫程の攻撃力を持たない為、火力に乏しく扱いが難しい。 ガンダムみたいに、ファンネルを主兵装に戦うのは非効率的。 スクール水着 通称スク水。 本来は学校指定の女性用水着。 お世辞にも洗練されたデザインではないが、独特の萌え属性を内包する。 ただし、着る者を選ぶ為、基本的に高校生までしか装備を許されない。 はたち越えても違和感の無い島田雅は、数少ない例外だと言える。 ストレリチア 京子の神姫。花の四姉妹の三女。 同じ意味の言葉を二回続ける話し方が特徴。 たぶん頭は凄く悪い。 高速飛行と突撃しか能が無いが、威力だけは凄まじく、直撃させられればどんな相手でも一撃。 スナイパーライフル 遠距離狙撃、装甲貫徹を目的とした長銃身ライフル。 扱いは至難であり、有効に使用できる状況は極めて限定されるものの、型に嵌まれば無類の強さを発揮する。 因みにバトルロイヤルでは最も有効な武器の一つ。 また、某ゲームでは砂と俗称される。 スラスター 主に加速、巡航に使用される噴射式推進装置。 トップスピードに乗るまでに時間が掛かる事が多く、瞬間的な回避には使用し辛い。 セタ ハウリンタイプの神姫。マスターは島田雅。 砲撃特化の珍しいハウリン。 通称セタ坊。 ワサビが好物。 ボクっ娘。 戦闘機 現行最強の兵器。 戦車と互角と思われる事も多いが、実際には戦車では全く太刀打ちできない。 対空機銃なども基本的には戦闘機を撃墜する為の兵器ではなく、戦闘機を追い払う為の兵器である。 対地攻撃機を兼ねる事も多いが、基本的には空対空戦闘を念頭に置いた軍用飛行機の総称である。 転じて戦闘機型の神姫とは、空対空戦を重視した神姫の事。 現行の神姫を無理やり分類するのであれば、アーンヴァルが爆撃機、エウクランテが攻撃機、飛鳥が戦闘機である。 た 大気圏離突入 刑罰の一種。 高速で打ち上げられる拳の威力で成層圏を突破し、地球の重力に牽かれて再突入する一連の軌道とそれに伴うダメージを罰とするもの。 宇宙(そら)が見える。 弾道計算 砲撃時に弾道を試算して、着弾点を予測する計算。 これの精度が砲撃の精度に直結する為、砲戦型の神姫には最重要な能力。 着弾観測 砲撃時に試射した弾道を観測し、弾道計算を修正する為の観測行為。 必ずしも砲撃した者と同一の者が行う必要は無く、偵察機などのデータで代用する事が可能。 視界外への砲撃には観測要員が不可欠。 直感 アイゼンが主に使用する一種の超能力。 とは言え、原理的には自我以前の段階での反射的行動をそう称しているだけの話。 アイゼン本体の処理速度より、アイゼンに装備されたセンサー類の方が性能が高いために生じる現象。 主人公属性の向上する特殊効果を兼ね備える。 デルタ 正式にはデルタ・ワン。 フォートブラッグなのは見た目だけで、中身は完全自作神姫である。 製作者、及びマスターは村上衛。 自我を完全に同調させる擬体を複数駆使できる能力を持つ。 一つの人格に複数の身体があると言えば分かりやすい。 ボクっ娘。 トラップ 罠。 通常は設置する事で機能し、一定条件で発動する遠隔自動攻撃の事。 或いは状況的に有利なシチュエーションを作り出し、そこに誘い込む事。 何れも相対的な戦力評価以上の戦果を発揮するが、使い所は難しい。 または緑タイツの盗賊。 ドリル 螺旋状の溝を持つ円錐形の掘削機。 漢のロマン溢れてこぼれ出す夢武装。 武装神姫ではマオチャオの標準装備に含まれる。 根性で再生させたり、巨大化させたり出来る(!?)。 あるいは問題集の事。 英語での『学習』を語源とする。 余談だが、小学生になった時、「ドリルを配ります」と言う先生の言葉を聴いて、何に使うんだろう? と思ったのはALCだけではない筈。 たぶん。 な 忍耐 転じて忍耐力。 伊東美空と付き合うために必要な能力の一つ。 他に受身、耐久力などが必須技能。 どれか欠けていると死ぬ。 尚、島田雅と付き合うにはこの忍耐力がMAXレベルまで成長している事が前提条件。 無いと発狂する。 要注意。 は バーニア 主に姿勢制御、回避運動に使用される噴射式推進装置。 英語ではバーナーと読む。 ハインド 天海市を巡回するロボット警察犬。 戦闘能力は高く、スタンガンを始めとしたノンリーサルウェポンを満載している。 サイズは本物の犬と同じ程度。 高度なAIを備えるが、当然神姫のそれには及ばない。 中東では殺傷武器を装備した軍用タイプが使用されている。とか言うとカッコいい(?)。 化け猫 強力なマオチャオタイプの神姫の別名である事が多い。 本来は猫を由来とする妖怪の総称的に使用される。 因みにマヤアは“化け物じみて強いネコ型神姫”の意味で化け猫と呼ばれる。 バット 野球に使用する道具。 転じて攻撃兵装の一種。 釘を打ち、攻撃力を増強したものを特別に『釘バット』と呼称する。 中には総金属製の釘バットを使用する殺人鬼も居るらしい。ロマンアイテム。 或いは液体を淹れる事を前提とした長方形の容器。 またはゴーグルをかけた少年。 蝙蝠の英語名でもある。 悪い、または“しかし”と言う意味もある。 バトルロイヤル 3体以上の神姫が入り乱れて戦う生き残り戦。 不意打ち、横槍等は当たり前で、1対1に慣れきった神姫では実力の1割も発揮できずに終わる事も多い。 リアルバトルで行われることは稀であり、天海神姫センター程の規模は全国でも珍しい。 花の四姉妹 土方京子の神姫。 カトレア、アルストロメリア、ストレリチア、ブーゲンビリアを指す。 それぞれレーザーソードの扱い。回避能力。高速飛行能力。レーザー砲撃能力。に、特化している。 これらは全てアーンヴァルの性能をピックアップしたもの。 アーンヴァルの試作機であった所以。 つまり、四姉妹は全員性能的にはアーンヴァル系。 パワーアーム ストラーフ、ティグリース(真鬼王)、イーダ、ルムメルティア等の標準装備に含まれる大型腕部。 神姫本体の腕よりもパワーが強い反面、反応速度、器用度などで劣る傾向にある。 いずれも武装としては非常に強力であり、近接戦においては無類の威力を発揮する。 本体の腕部に直接装備される場合と、背部ユニットに装備される場合があるが、背部ユニットに装備された場合は本体の腕とあわせて4本の腕を持つ事になる。 当然手数が増える為、近接格闘におけるアドバンテージは凄まじい。 その反面、4本の腕を同時に使用するのは難しい為、動作が単調になり易く、パターンを見切られると脆いという欠点もある。 余談だが、アイゼンはこの種の副腕の操作が非常に得意。 通常の(平均的な)ストラーフに対しアイゼンが唯一勝る基礎能力でもある。 パワーダイブ 戦闘機のマニューバ(戦闘機動)の一種。 地面へ向けて加速する事で重力を加算し、スペック以上の加速力を得る機動。 当然充分な高度が無ければ地面に激突する危険性を孕む為、通常は禁じ手の一種。 ハンドガン 拳銃と漢字表記される小型の銃。 当然、威力は大型の銃には及ばないものの、携帯性に長ける為、予備武装としては非常に有効。 極稀に拳銃をメインに使用する神姫も存在するが、その殆どは近接戦闘に格闘戦を織り交ぜながら使用する。 その手の神姫は、ガンカタと言う謎の名称を関する格闘技を収めている者がほとんど。 間違っても腕を飛ばす武器ではない。 飛行型神姫 アーンヴァル、エウクランテ、飛鳥等が主な機種。 飛行の為に軽量であるが故にパワーに乏しく、重火器を装備し辛いなどの欠点がある。 その為、対多数を要求されるバトルロイヤルでは殆ど使用されないタイプ。 目立つ為、攻撃の的となり易く、複数の敵を倒すだけの火器を装備できないのが主な理由。 体重と装甲で劣る為、近接戦闘における攻撃力、防御力も乏しく、殆どの場合長距離からの対地攻撃を主戦法とする。 土方真紀 故人。 物語のキーパーソン。 死ぬのが確定しているので、余り強いキャラクター付けをしたくなかった。 土方京子 花の四姉妹のオーナー。 鋼の心における当面の敵キャラ。 過去の事故で右目を失っており、眼帯を常時着用している。 また、夏でもコートを脱がない。 同じ事故で受けた傷跡が身体に残っている為。 標準装備 購入時に神姫と同封されている装備一式。 初期装備と言うと弱そうに聞こえるが、実は非常にバランスが取れた優良な装備の組み合わせ。 ある種の得捨選択や追加装備を施すだけで非常に実戦的な装備になる。 強力な神姫の半数は標準装備か、それに+αした装備だと言われている。 ブーゲンビリア 京子の神姫。花の四姉妹の末娘。 漢字のみで喋る不思議ちゃん。 レーザー砲の扱いが得意。 と言うより、他に何も出来ない。 ちなみに京子、及び他の姉妹への呼称は『主』『上姉』『中姉』『下姉』である。 フェータ アーンヴァルタイプの神姫。マスターは伊東美空。 物語上重要なキャラの筈だが影が薄い。 因みに名前の由来はイタリア語で『妖精』の意味。 同時にドイツ語で『翼』を意味するフェーダから濁音を取ったもの。 刀使い。 と言うより刀しか使えない。 フライパス 上空通過の意味。 ブラックアウト 急速なGの変動により、眼球への血液供給が途絶える事によって生じる一時的な盲目状態。 主に戦闘機のマニューバによって齎される。 転じて視界を失う事の総称的にも用いられる。 余談だが、Gによって眼球に血液が過剰供給されることによって生じるレッドアウトという現象もある。 あるいは、超光戦士シャンゼリオンの敵キャラ。黒岩省吾こと、暗黒騎士ガウザーの変身時の掛け声。 超余談だが、彼の最期は小学生の集団に手榴弾を大量に投げ付けられ爆死するという、特撮史上類を見ない死に方だった。 ホッケーマスク ある種の殺人鬼の標準装備。 アイスホッケーと言う競技に使用する事もある。 ガスマスク、ベイダーマスク(映画スターウォーズの悪役、ダースベイダーのマスク)などで代用する事が可能。 残念ながら和服とは合わない。 ホバリング 空中で静止する事。 基本的にはヘリコプター等の機動であり、飛行することで揚力を得る航空機には不可能な機動。 これを可能とする飛行機をVTOLと呼称する。 因みに神姫はほぼ例外なくホバリングが可能。 ま マスター オーナー、主などとも呼称される、神姫のユーザーの事。 神姫は原則として必ずマスターを有する。 マヤア マオチャオタイプの神姫。マスターは斉藤浅葱。 通称化け猫。 ツガルの装備を駆使する、天海神姫センターで最強の神姫。 超強い。もう、どれだけ強くても驚かない。 巫女 神に仕える女性。 転じて神道系の女性聖職者。 和風最強の萌え属性。 祐一は巫女好き。巨乳であると尚の事良し。 みこみこナース ALCがど忘れしていたマッドソング。 無念。 ミサイル 自律、ないしは本体からの誘導による追尾弾の総称。 原則としてホーミング弾であり、着弾(殆どの場合は直撃)時に自爆し、爆圧と破片で攻撃する。 これから追尾性を排除し、爆発範囲を広げ面制圧兵器として運用するものをロケット弾と呼ぶ。 美空のポシェット(鉄板入り) 伊東美空が外出の再に標準装備する。 格納能力を有した携帯式の運搬装備であると同時に、内蔵された鉄製の板金による、盾、或いは打撃武装としても機能する。 因みにこれを使用したスイングの一撃は2t自動車の突撃と同等の威力を有する。 当たると痛い。 受身を取らないと死ぬ。 京子のバイク 比較的軽量ながら1万ccもの排気量を持つモンスターマシン。 当然ハンドメイドの自作機。 エンジン音からして既にバイクの領域には無い。 やり過ぎの典型例。 村上衛 メイドの伝道師。デルタのマスター。 他にも合計で40名にも上る神姫のマスターである。 CPU、及び材料工学の分野を中心に様々な才能を持つ天才。 っつーかむしろ紙一重の向こう側。 メイド 解説不能。 或いは解説不要。 あらゆる萌え属性を内包する、とは言っておく。 メガスマッシャー 漫画家、高屋良樹の漫画。『強植装甲ガイバー』に登場する主人公たちガイバーの必殺技。 胸部装甲を“引き剥がし”露出させた発振器から発射する非常に強力な粒子ビーム。 ガイバーがパワーアップしてガイバーギガンティックになるとギガスマッシャーと名称が変更され、さらに強力になる。 さらに強いイクシード形態では未だ未使用。もはや地上では軽々しく使えない威力になっているはず。 メガスマッシュというと某GBのRPGのラスボス第二形態の攻撃方法になる。 こちらは盾で防げるため、メカを先頭にしてレオパルト2でも使わせておけば無傷で突破できる。 メンテナンス 整備の事。 通常のユーザーでも、戦闘後に間接部の掃除ぐらいはしないと、戦闘能力の低下を引き起こす。 神姫センターに持って行けば、安価で念入りな整備をしてくれる。 や 槍 格闘戦用の武装の一種。 近接武器としては長大な間合いを誇り、刀剣類に対しては圧倒的なアドバンテージがある。 懐に潜り込めば…、的な誤解も多いが、柄を使った単純な打撃武器としても致命的な威力であり、武器として刀剣類に劣る面は無いといって良い。 問題は重量が嵩む上、鞘などの保持機構が無い為、携帯性及び汎用性に劣る点と、歴史的に刀ほどには使用技術が研磨されていない事。 神姫バトルにおいても、刀剣類に対するアドバンテージはあるものの、銃器に対してはデメリットが増す為、使用頻度は刀剣類よりも低い。 要塞さん 天海市の神姫センターにおけるバトルロイヤルのトップクラスのランカー。ランキング第二位。 超重装甲、超重武装を誇り、遠距離から近距離まで隙の無い攻撃レンジを誇る。 ある種の極地に達した神姫。 何故か天海市においては大人気。 予測射撃 敵の軌道を予測し、数秒先の位置を割り出して、そこに射撃する射撃方法の一種。 高速で移動する神姫を狙う為には、ほぼ必須の能力であり通常の火器管制プログラムに標準的にインストールされている。 尚、通常射撃の上手下手は、相手に合わせてこの予測射撃を調整する能力で決定される。 ら リーナ・ベルウッド 金髪ロリっ娘。レライナのマスター。 エンジン系技術の天才であり、自動車とかの設計も行っている。 因みにべルウッドは『鈴木』の意味。命名法則からは外れていない。 榴弾 あるいは榴弾砲。 簡単に言ってしまえば爆弾を発射する大砲、あるいはその弾の事。 手投げ式の物を手榴弾と言う事を考えれば、想像も付くと思う。 レーザー 光学兵器の一種。 強力な光を触媒を通しながら反射、増幅しつつ相違を揃え放出する事で熱光線を放つ武器。 弾速が光速であり、回避は不可能。 ただし、幾つか欠点もあり、スタンダードな武器とは言い難い。 通常は赤外線を使用するが、短射程だが強力なX線を使用したX線レーザーも存在する。 理論上は更に強力なガンマ線レーザーも可能だが、放射線を撒き散らす構造上、ホビーバトルで使用する物ではない。 レーザーソード 或いはレイブレード。 アーンヴァルの基本装備に含まれる光線剣。 実際には見た目ほどの威力は無く、攻撃力では実体剣に大きく劣る。 その一方で、携帯性には長ける為、飛行の為に重量を切り詰めねばならないアーンヴァルにはうってつけの武器。 主兵装にするには威力不足だが、改造する事で出力を上げ、主兵装に置く神姫も珍しくない。 レールガン 弾体を電磁加速し射出する射撃兵器。 火薬式の銃器に比して重く、繊細である為に扱いは難しいが、マズルフラッシュや銃声などが殆ど無く、静粛性に飛んだ飛び道具。 ただし、その重さが隠密タイプの神姫は重すぎる枷となる為、弾速を重視する神姫が中、長距離用の兵装として使用する場合が殆ど。 レライナ サイフォスタイプの神姫。マスターはリーナ・ベルウッド。 蒼い稲妻と言う異名を持つ。 いつも寝てる。 わ わさび セタの大好物。特に練りワサビをチューブから直接啜るのがたまらないらしい。 食べた後しばらく悶えながら床を転がる。 尻尾がザワザワってなる。 実は終盤のキーアイテム。 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る -
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武装神姫のリン 番外編 「勇者特急!?」 今日は休日。 ということで皆で出かけようと思っていたのだが……あいにくの雨。 結果家でごろごろすることになった。 でリンと茉莉は昼食を作っている。 俺とティアはヒマなのでネットを(エルゴ特製の通信ユニットで訓練機の機能を使ってカメラアイに直接ページが表示されるように改造されている)していた。 するとティアが俺のPCにあるページを表示した。 「さあ、これで君もGとjになろう!! ガオガイガー&キングジェイダーセット!」 ……目が点になった。 「なあ、ティア、これ欲しいのか?」 「もちろんです。最近ネットを騒がせているGと突然現れた彼女の仲間。Jになりきれるセットですのよ。これをお姉さまといっしょに着るのです。」 まあたしかに、リンとティアはちょうど黒と白だけどな……値段は……6万!!! 「却下!!」 「そんな、愛するお姉さまへのプレゼントですよ。ソレぐらい出してください」 「あーーーリンは欲しいなんて言ってないだろ。」 ……なんだか背にいやな空気が…… 「マスター、ダメですか?」 目に涙を浮かべたリンがいた。 ダメだ、そんな顔されると勝手に身体がマウスを操作していく。 カゴに入れるボタンをクリック……する前になんとか自らの意思で腕を動かすことに成功。 6万の出費からなんとか逃れた。 その代わり。 「こっちならどうだ、勇者特急マイトガイン+マイトカイザーセットでグレートにも合体可能!!」 値段は2万。こっちなら何とか出せる値段だ。 「え~ちょっと古いのではなくて?」 「今から考えるとガオガイガーも十分古いわ。Tv放送されたのがたった数年の違いだぞ。それに俺はこっちの方が好きだ」 「マスター、私はこっちのほうが好きかもしれません」 「お、さすが俺のパートナーだ。」 そういうわけで即注文。 で1週間後、届いたわけだが…… 「マスター……大きいです。」 「大きいですわね、ご主人様。」 「ああ、予想以上にデカイな…」 ウチに届いたのは注文したセットに加えて同スケールの基地、および残りの勇者達のセット。 なんでもメーカー通販で10000人に1人当たる豪華なセットが当たったらしい。 「亮輔……これはどういうことなの」 さすがにこんな大荷物が届くとは思っていなかった茉莉が怒っている。 「いや、なんか抽選で1万人に一人当たるものが当たったらしい…」 「これの置き場所は亮輔の作業室ね。ソコ以外は認めません」 「ちょっと待て、こんなの置いたら基地だけで埋まってしまう!!」 そんな抵抗もむなしく、俺の部屋は勇者特急の基地になってしまった…… 「チェーーーーーンジィ、マイトカイザー!!!!」 ティアが叫ぶとドリル特急に繋がれたコンテナから小さなマシンが5機飛び出し、ドリル特急本体がティアの身体を包む。 そして5機のマシンが次々と合体。最後にコンテナ後部のウィングが背に装着され、右手でドリルを掴んでマイトカイザーが完成した。 「お姉さま、グレート合体ですわ」 「ぐ、…グレート、ダァーーーーッシュ!!!」 最初は少し恥ずかしそうにしていたが、それを振り切ってリンが叫ぶ。 するとマイトカイザーが瞬時に分離。 ティアの身体からドリル特急の本体が離れてリンが合体しているマイトガインの胸部に取り付く。 そしてマイトガインの元の手足にマシンが合体。 足は下駄をはくように合体するのがグレート合体の醍醐味だ。 そして最後にドリル部分が胸部に接続され、ドリルが3つに分かれて開く。 ソコにはMGの2文字。 そうしてグレートマイトガインが完成した。 グレート動輪剣を持って構える。 「…輪じゃなくてリン。かっこいいぞ!!」 俺は柄にもなくデジカメでGマイトガインとなったリンの写真を撮りまくる。 最後に必殺技の『真っ向唐竹割り』をしてくれ!!とたのんだ。 グレート動輪剣の中心にある車輪状のパーツが唸りをあげてビームの刃が展開……展開?? 「ちょっと、ストーーーープ!!」 制止も間に合わず、リンはおもいっきり動輪剣を振り下ろしていた。 その結果俺の部屋はフローリングを真っ二つに切断し、コンクリートの下地にまで傷をつけていた。 そうして俺の作業部屋は開かずの間となり、マイトガインの基地セットはめでたくエルゴに寄付されることになりました。 ちなみにリンがGマイトガインを気に入ったのは… 「えっと、「だからドリルは取れと言ったのだ…」ていうセリフが好きだったんです」 どこでそれを聞いたんだ、しかもそのドリルは轟龍のものだし……orz おわり。 オチがなくてすみません(泣) TOPへ
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ただでさえ憂鬱な期末試験は、予想通り散々な結果で終わった。僕――星野慎一は、今すぐにでも抹殺したい成績表を持って、家路についていた。 いつからだろう、こんな風になったのは。 昔――といっても数年前だけど――は、決して勉強は苦手ではなかった。学校でも、それなりに友達付き合いがあって、楽しかった。 父が、罪を犯すまでは。 ほんの些細な行き違いから口論になって、相手は父を殴りつけてきた。危険を感じた父は、そこにあった大きな灰皿で、相手の頭を殴打して・・・・・・、殺してしまったらしい。 目撃者が居なかったのが、父にとっての不幸だった。正当防衛ということだったが、近辺では、あることないこと、大小さまざまな噂が飛び交った。・・・・・・その火の粉は、僕達家族にも及んだ。 逃げるように、住み慣れた地を後にした。僕は現在、祖父母の所で暮らしている。 なるべく人の通らないような裏道を歩く。とにかく、人付き合いが恐かった。殺人者の息子だとばれるのが恐かった。 「た・・・・・・す、け・・・・・・」 「えっ?」 なんだ? どこかから、声が聞こえた。慌てて周りを見渡すが、誰も居ない。 「助、け、て・・・・・・」 まただ。怪奇現象かとも思ったが、違った。 僕の足元に、15センチほどの青い髪の少女がいた。・・・・・・我ながら、変な形容だと思う。 そうだ、思い出した。最近色々と話題になっている、武装神姫。でも、そんなのがどうしてここに? 「助けて、くだ、さい・・・・・・」 その時僕は、なぜかこの娘を助ける気になっていた。今にして思えば、彼女が人じゃないから・・・・・・。そんな考えも働いていたのかも知れない。 「ありがとうございました・・・・・・」 彼女は僕の机の上でそう言った。よく見ると、身体には無数の傷がある。 「うん・・・・・・、あ、僕は星野慎一。えっと・・・・・・、とりあえず、よろしく」 「慎一・・・・・・様。私は悪魔型MMSタイプ『ストラーフ』、個体名ネロ、と申します」 ・・・・・・なんて呼べばいいんだろう? 聞いてみたところ、 「ネロ、で結構です、慎一様」 とのことだった。それにしても、 「様付けってのはなんかちょっと照れくさいなあ・・・・・・。僕のことも慎一でいいよ」 これが、僕の運命を大きく変える出会いだった。 幻の物語トップへ
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前を見た少女と、煌めく神の姫達(その一) ──もう、手放さない。滅びが分かつまで、愛しき姉妹と共に生きよう。 “妹”達の笑顔の為ならば私は尚の事、己の全てを神姫に捧げていこう。 それが……共に歩んでいく彼女らに対し、私が捧げられる“誓い”──。 第一節:訣別 “悪夢”の暴威が去った翌朝。私・槇野晶は、朝一番の電車で出かけた。 行き先は東杜田技研。勿論“四人の妹達”……アルマとロッテ、クララに 昨日から加わったエルナも一緒だ。但し、彼女らは目を醒まさない……。 あまりに受けたダメージが大きすぎたのか、一様に酷い不調を訴えてな。 なので私は、ありったけの修理用部品を持って東杜田技研を頼ったのだ。 「……私を置いて逝くには、まだ早いよ。まだ、色々あるんだから……」 「晶ちゃん?おーい、あーきーらーちゃーん?何ブツブツ言ってるのさ」 「どわっ!?げふ、げふっ!ど、ドクターではないか何時からそこに!」 「ん?たった今。一通り終わったから、再起動前に色々説明したくてね」 ベンチに座って祈っていた私は、掛けられた声に素っ頓狂な声を上げる。 ……聞かれなかっただろうな?この“言葉”は、あまり出す物ではない。 ともあれ私の眼前では白衣姿のDr.CTaが、マスクをくるくる回していた。 悲壮感のない表情からすると、“手術”自体は成功した様なのだが……。 「ドクター、どうなのだ?私の“妹”達は無事か、無事なのかッ!?」 「はぃドードー。焦っちゃって晶ちゃんらしくないぞ?落ち着けー?」 「む、す……すまん。色々とあって……私では直し切れなんだのでな」 そう。私では手が出ないレベルの修理や改造も、色々と必要だったのだ。 そう言う経緯もあって逸る私を、Dr.CTaは宥めながら別室へと案内した。 そこは、処置室を外部から観察する為の……硝子張りの部屋だった。目を 少し下に降ろせば、作業台の上には少々痛々しい姿の四人が眠っている。 「んー、まずは……ロッテちゃん達三人の方から説明しようかなっと?」 「宜しく頼む。特にアルマとクララは、奇妙な病を起こしているからな」 「それも多少分かってるさ。まぁとりあえずは……皆、酷い損耗だねぇ」 「これがカルテか……全員四肢のモーターが焼き切れている、だと!?」 「そそ。一体どこでこんな無茶させたのさ晶ちゃん、って位の重傷だね」 ドクターが示したマイクロマシン用検査器具のログを見て、私は戦慄く。 何と、ロッテまでも含めた“三姉妹”全員の駆動系が焼損していたのだ! ヴァーチャルフィールドで起きていた筈の出来事なのに、どういう事だ? 「むぅ……ヴァーチャルフィールドで、相当無謀なバトルをしていたが」 「じゃ、そのセンかな?“何か”の影響でフィードバックした情報がさ」 「有無。知らず知らず、皆の躯を突き動かしていたのか……しかしなぁ」 「超AIやCSCも、あちこち傷があったからねぇ。可能性は大きいよ」 ログには確かに、アルマとクララのCSC……そして皆の超AIに相応の 負荷が掛かっていた事を示す値が印されている。一部は、結構深刻な傷と なっていた様だが……Dr.CTaは、その処置もしっかりとしてくれた様だ。 物理・論理……両方の傷を癒し皆の命を維持する、見事な“技”だった! これほど完璧に修復されているのならば、当面は安心して良さそうだな。 「なるほど……こんな方法で修復したか。流石は手練れの“技術者”だ」 「結構離れ業だったけどねー。でも、何したらこうなったのさ本当に?」 「そうだな。ドクターには話してもいいだろう、これまでの恩義もある」 それに報いるべく、という訳でもないが……私は起きた事の全てを語る。 エルナの正体、彼女を止める為に挑んだ大一番。そして事後に襲来した、 あの“悪夢”を。それを聞き、彼女の表情は少し引き締まった物となる。 「へぇ……テロなんかの為に、MMS……というか神姫をねぇ。外道だね」 「外道と思うが、彼女……“ロキ”だったエルナの否定にはならんぞ?」 「そりゃそーだね。エルナちゃんは愛されたかった、それだけだろうし」 「そのエルナは、注文通りにやってくれたか?違法な部品の撤去と……」 「皆まで言わなくて大丈夫。塗装以外は、“姉”を参考にやっといたよ」 固定武装と“武装神姫”のレギュレーションを越えた部品の撤去、それに 伴った、私の持ち込んだ部品による修理。他にも色々と注文を付けたが、 それを言い連ねようとした私を制する形で、彼女はその成功を裏付けた。 「そ、そうか。それなら何よりだが……そう言えば、エルナの様態は?」 「アルマちゃん達以上に酷かったよ。もう少しでバーストしたかもねぇ」 さらっと言ってのける辺りはドクターらしいが……本当に彼女は、破滅の 寸前だったのだ。どうにか助けられた事に、私は改めて胸をなで下ろす。 そうしていると、彼女は私の前で唸り始めたのだ。とても神妙な顔でな。 「しっかし、“悪夢”と“約束の翼”ね……神姫の“心”の力かな……」 「……どういう事だドクター?チェックの過程で、思い当たる節でも?」 「大体ねー。まずは“悪夢”だけど、これの大元は普通のウィルスだよ」 「何?普通の……と言う事は、コンピュータ用のワームウィルス辺りか」 「うん。八割位壊れてたけど、“変質”したコードの残滓は見つけたさ」 Dr.CTaが語る所によると、エルナの……殆ど破損した……補助記憶装置と アルマ・クララの現行型CSC三基に、そのコードが残っていたらしい。 だが、元となるウィルスはMMSの超AIやCSCを侵蝕する類ではない。 しかし調べた限りでは、機能が激変する程の“改竄”が見られたそうだ。 「……でも作った連中がそこまでやったとは考えにくくてさ。となれば」 「エルナが憎悪を膨らませる過程で、知らずに己の“毒”を精錬した?」 「あたしゃそう睨んでる。で“約束の翼”だっけ?これは“ワクチン”」 「“ワクチン”だと?だが、対コンピュータ用のワクチンソフトは……」 「入れないね普通。でも、あの透明なCSCにあった物は間違いないよ」 首を捻りつつ、私は推論する。ひょっとしてアレは“ワクチン”ではなく “抗体”なのではないか?“プロト・クリスタル”にのみ発生したという 指摘を踏まえると、歩姉さんが遺した“大いなる遺産”かもしれないが、 私の知る限りでは妖しいルーチンは存在しない。となれば“悪夢”同様、 三姉妹の“心”が繋がった事で産み出された“即興詩”なのかもしれん。 「で、問題は……どっちも破損して動かない事と、規約に引っかかる事」 「つまり、各々のデータを遺すか消すか。選択しなければならんのか?」 「そーなるね。起動してないのは、確認しときたかったから……でもさ」 「む、何だ?調査用に別個コピーしておこうという考えでもあるのか?」 「んにゃ、殆ど壊れてるから解析は無理さね。第一、エルナちゃんって」 『神姫として生きていくつもりなんでしょ?』と笑ってみせるドクター。 聞けば、なんと彼女はその小さな胸に三個のCSCを備えていたという。 そう……エルナの身体構造は基本的に神姫と酷似しており、今回の修理で 完全にオリジナル型神姫として通用する躯になっていたのだ。故にこそ、 唯一公式バトルに出る際の障害となる、残存データの処遇が問題となる。 「……分かった、消してくれ。未来を歩む彼女らには、最早不要だろう」 「オッケー、じゃ早速やってくる。動作チェックが終わったら完了だよ」 「本当に済まないな、ドクター。この埋め合わせは、何れ必ずしよう!」 「ホント?それじゃ今度、お言葉に甘えちゃおうかな。にっしっし……」 楽しそうな笑顔を浮かべて、彼女は部屋を後にした。そう、未来に向かう 四人の“妹”達……そして私に“悪夢”は、もう要らない。そして過去の 残滓も、最早無用の物。歩姉さんの遺志を受け継ぐ“遺産”は、現状でも 十分にある。私達は、ある意味過去と“訣別”する事を選んだのだ……。 「歩姉さん、クリスティアーネ。私達を見守ってくれて、有り難う」 ──────そして、さようなら。志は、大切に受け継いでいくよ。 第二節:姉妹 東杜田技研を後にして、私はMMSショップ“ALChemist”へと戻ってきた。 今日は当然ながら臨時休業。私は出来た時間を最大限使い、“四姉妹”の 補修で痛んだ素体塗装を復元する。無論エルナも、全身の修復された痕を 隠す為、菫色と肌色をベースとした物に変更する。作業はすぐ終了した! 「ふぅ……よし、これでいいだろう。さぁ皆、目を醒ましてくれよ……」 「チェック……OK──ん、ぅ……あれ、ここはお店の作業台ですか?」 「……そうみたい、なんだよ。頭もスッキリしてるし、躯も快調だもん」 「戦闘後は具合悪かったですけど、今はちゃんと治ったみたいですの♪」 「うむ。おはよう、皆……そして、連戦本当に御苦労だった。見事だぞ」 アルマを初めとして、ロッテ・クララと火が灯っていく。徹底的に全身を 検査・修復された三人の表情は一様に明るく、私に微笑んでくれた。だが 今日からはもう一人……皆の笑顔を受け微笑むだろう娘が増える。そう、 まだ敢えて電源を入れていない、“五女”にして紫の姫・エルナの事だ。 「さ、服を着たら皆で見に来てくれ。この様な感じになったがどうだ?」 「わぁ……綺麗ですの~♪マイスター、早く起こしてあげて下さいの!」 「急かすな。皆、大丈夫だな……?よしっ、では始動コードを……っと」 「──────ジステム、グリューン……機動……ん、躯が軽いわね?」 『おはよう、エルナ!!!!』 急かすロッテに動かされる形で、私はエルナを目覚めさせた。そして…… 服を整えてから皆で挨拶をする。彼女は、不思議そうに自分の躯を眺めて 手を握ったりしていた。だが、裸となっている為か……妙に艶めかしい。 更に“姉”とお揃いの“琥珀色の瞳”も、菫色の髪に映えて輝いていた。 「お、おはよ……お姉ちゃん達。アタシのこれ……どうしちゃったの?」 「有無。やはり非常にガタが来ていたのでな、彼方此方を改修したのだ」 「エルナちゃん、あのままの武装だと法に問われそうでしたからね……」 「……その武装、然るべき機関で処分してもらったのかな?マイスター」 「ああ、Dr.CTaにお願いしておいた。彼女ならば、確実だと思ってな?」 「そう?……アタシの過去が消えた訳じゃないけど、スッキリしたわね」 そう言い、エルナは微笑んだ。彼女もあの濃密な一日を経て、己の過去に 一区切り付ける事が出来たのだろうな。これならば前田達が見咎める事も 最早あるまい。後は私達の“妹”として、嗜みを教え込んでいくだけだ。 「有無。その躯は戦う為だけではなく、少女として身を飾る為にもある」 「身を飾る、って……ロッテお姉ちゃんやマイスターみたいに、服を?」 「そうですの!わたし達、マイスターの作ったお洋服が大好きですの♪」 「無理矢理好きになれ、とは言わぬ。服を着る習慣もなかったろうしな」 「でも、あたしも慣れてきた時……“心”が踊ったんですよ、とても?」 「大丈夫。エルナちゃんにもきっと似合うんだよ。丁度、一着あるしね」 クララは気を利かせて、自分の衣装箱……の隣に置いてあったケースから 服を一式運んできた。そう……春新作の“Electro Lolita”、その最後の 一着──“菫色”のドレスだ!まさか、着る者の居なかった“四着目”が この様な形で充足されるとは思いも寄らなかったが……運命は、面白い。 「え、ええと……アタシに、そんなの……その、似合うのかしら……?」 「それは私が、そしてお前の“姉”達が保証する。さ、着付けてやるぞ」 「ええっ!?そ、そんなの大丈夫よ!その、えと、あの……はぅぅ!?」 私に着せられる事に、最初は物凄く戸惑ったエルナ。だが、服飾の構造を 理解出来ない彼女は、渋々私に身を任せる事となった。その仕草は……! 「ぅ、うぅっ……な、なんだかムズムズするわ。でも、嫌じゃない……」 「それも“心”の成せる業ですの。照れくさいって“感情”ですの~♪」 「て、照れるとか恥ずかしいってこういう事をいうのね?……ひゃうっ」 「こら、可愛らしい声を出すなっ!その……私も顔が紅くなりそうだぞ」 「そ、そう言われたって……マイスターに触れられると、出ちゃうのよ」 とても“初”で可愛らしい。初めてドレスに袖を通す“少女”そのままの リアクションは、私……いや、私達の胸をとても暖かくしてくれる物だ。 程なく着付けが完了した所で、アルマが神姫サイズの姿見を持ってきた。 当然ながら、彼女らも各々に与えられた“春の新作”を纏っているのだ。 「マイスター、これでエルナちゃんに姿を見せてあげて下さい……っと」 「どうだ?これがお前だ、エルナ。神姫として、凛と振る舞う娘の姿だ」 「とても似合ってて、可憐ですね……お揃いですよ、エルナちゃんっ!」 「……嫉妬しちゃう位に、可愛いんだよ。ボクらまで堪らなくなるもん」 「うん。切れ長の目に、淡い紫と白のコントラストが映えますの~っ♪」 「はうぅ……そ、そんな褒められる事なんかしてないわよ……アタシ?」 只服を着ただけなのに、皆が暖かく……微笑ましく見守ってくれる。その 感覚は、決して全身を武装化しただけでは味わえなかった物なのだろう! 可愛らしくもじもじと手を絡ませるエルナと、それを抱きしめる三姉妹。 私は四人の頭を、順番に撫でてやった。皆は糸の様に目を細めて、感触を 味わっている。エルナも、まんざらではないという表情だ。くぅぅッ!? 「コホン……そう言えばエルナよ、眠っている間にお前の登録をしたぞ」 「登録?神姫同士のバトル、って奴かしら……過去はムダじゃないのね」 「有無、そうだ。装備はこれから作ってやる事となるが、それは後日だ」 「武装が仕上がったら、戦闘訓練とかに打ち込むんだよ。エルナちゃん」 「ふふっ。負けないわよ、クララお姉ちゃん?本当楽しみね……色々と」 塗装作業の前に、私はエルナを事務局に見せている。そして、お墨付きを 頂戴したのだ。完全オリジナルの素体という事で多少の制約はあったが、 登録を受理された彼女は、正真正銘“神姫”として生まれ変わったのだ! それを自己認識したエルナは、早速“姉”との訓練に思いを馳せている。 だが、今日はもっと大切な事をせねばならん。前に踏み出さねばならん! 「まぁ待て、今日は……その、何だ。デートと洒落込もうではないか!」 「で、デート!?アタシなんかと?……なんか、なんて言っちゃダメね」 「そうとも。お前も大切な“妹”なのだぞ!それを、今日は明確にする」 「“も”……って、事はマイスター!ひょっとしてあの事、ですか!?」 「そうだ。長く待たせてしまったが、約束は……しっかり果たしてやる」 「……やっと、本心と言うか具体的な言葉が聞けるんだね?マイスター」 「なら今日は精一杯五人で楽しんで……それから、告白を受けますの♪」 『はいっ!!!』 ──────胸が張り裂けそうだよ。皆への、想いで。 第三節:逢瀬 全てが終わった暁には、私の“想い”を具体的な言葉として告白しよう。 それは、アルマとクララに誓った事だ。しかし、新しく私達の輪に加わる エルナにも……更に、長く側にいてくれたロッテにも、言わねばならぬ。 “マスター”として……“マイスター”として、私が抱いている想いを。 デートと言うのはつまり、言い出せる雰囲気を作る為の通過儀礼なのだ。 「ほれ、エルナ。バランスをしっかり取らぬと墜ちるぞ?どうだ、外は」 「あ、あのマイスター?皆見てるわよ、アタシ達の事……変じゃない?」 「自意識過剰かもしれないけど、決して変じゃないよ。皆、綺麗だもん」 「そうですね……マイスターの『白と橙の服』も、お揃いで綺麗ですし」 「わたし達の服に合わせる形で、マイスターは何時も服を作りますの♪」 「そうなの?その、マイスターも……可愛いと思うけど、あのその……」 私の左肩で、エルナが周囲の“好奇の視線”に身をよじっていた。ここは 渋谷のセンター街である。作業に結構な時間を取られていたので、あまり 遠くへ出張る事は出来なかった。しかし、私達の日常と世間に慣れるなら こうして街を見せてやるだけでも十分効果があると睨んだのだな、有無。 「で、でもさクララお姉ちゃん……それなら、これから毎日こうなの?」 「毎日という程でもないけど、可憐に振る舞える位の場数は踏む筈だよ」 「……そ、そう。ところで、さっきから周り見てて気になったんだけど」 「何です、エルナちゃん?……あのお兄さん、何か変な事してました?」 「うん。あの人、耳に通信機なんか付けて誰の指令を受けてるのかしら」 「え~と……あれは音楽を聴く物ですの。無線機とかじゃないですの♪」 だが、何処か常識に疎い所があるのはしょうがないか……?まぁ、それも 焦る事はない。これから四人で、街での暮らしという物を教えればいい。 自己を恥じて律していくその姿は、とても愛らしいではないか。真っ赤な エルナを、私はそっと撫でてやった。それだけで、緊張は随分と解れる。 「うぐ、だ……ダメねアタシ。音楽とかは、北欧のしか聞いた事無いの」 「北欧の?ひょっとしたら民族舞踊とか、地元のバンドとかですの~?」 「う、うん。“マヨール”と“ベルンハルト”が、その辺好きだったの」 「ふむ、そうか。では今度エルナにもお薦めを教えてもらうとしようか」 「後……あたしの演奏と歌に合わせて踊るのも、いいかもしれません♪」 「ふぇ!?だ、ダメよ!アタシは見聞きしてるだけで、上手じゃ……!」 「大丈夫だよ。技巧も大切だけど、ああ言うのは“心”が第一だもんっ」 そうして、他愛ない会話を膨らませていく。互いを深く知っていくには、 兎に角なんでも話すのが一番なのだ。御陰で、エルナの過去や嗜好なども 意外な側面が見えてくるのだ。例えば、そう……このショーケースだな。 「わぁ……マイスター、アレ見て!アレ……ほら、水晶のイヤリングよ」 「む、クリスタル自体は有名な工房の品か。ああ言うのが好きなのか?」 「ええ、金や銀も綺麗だけど……この中だったら、アレとこの紫色のね」 「それはアメシストだよ、エルナちゃん。あ……二つ名にもどうかな?」 「ふむ。んー……“紫風の尖姫(アメティスト・ヴァルキュリア)”とか」 「いいですね。アタシ達がバトルで名乗るのも、宝石の名前ですしッ!」 「エルナちゃんがお気に入りなら、今度その二つ名を使ってみますの♪」 ウィンドウショッピングに華が咲くのは、神姫と言えども買い物が出来る 身の上ならば女性は皆同じなのだ。それは、私が散々己の店で見た光景。 だからこそ……エルナもそういうゆとりが産まれた今は、瞳を輝かせる。 そこから話は、バトルで名乗る二つ名へと発展する。本当に、他愛ない。 だが、これこそが幸せなのだ。この何気ない日常こそ、喪いたくない物。 「ふぅむ……そろそろ夕餉の時間か。皆、適当な店に入ろうではないか」 「え?お、お店って……でもアタシ達人間の食事なんて摂れないわよ!」 「ふふっ。あのドクターなら、その辺りは心配要らないですの♪ね、皆」 「きっと“仕込んでる”筈ですよ……皆、あの人に修理された時にね?」 「うん。匂いを嗅げば、エルナちゃんも自分の変異に気付く筈なんだよ」 ビルの谷に沈む陽を見てディナーを提案する私に、当然エルナは戸惑う。 だが“姉”達が睨んだ通り、あの喰えない人は私に意地悪く笑っていた。 故に『十中八九』と見て良いだろう。私は皆で、狼狽するエルナを連れて イタリアンレストランへと入った。まずは見知った洋食の方がよかろう? 「まずは、マルゲリータのピッツァを頼もう。後は皆、好きな様に頼め」 「分かったんだよ。でもマイスター、エルナちゃんは“どっち”かな?」 「……正直そこまでは聞いていないのでな。とりあえず量を確保するか」 「フルーツも少々と……あ、ライスコロッケなんかよさそうですの~♪」 「え、あの?なんで皆、人間の食事注文してるの?普通無理でしょ!?」 「確かに普通は、無理ですね……でも、あたし達はきっと大丈夫ですよ」 さりげなくピザを頼んだのは、過去との訣別を意味する。しかし、それは 最早どうでもいい事だ。それよりも、何が起きているのかを理解出来ない エルナを落ちつかせながら、料理を待つ事こそ肝要。あまりにも自然且つ 遠慮無く頼む“姉”に、彼女は驚くばかりである。だから私は、こっそり カルボナーラも追加してやった。さぁ、この娘はどんな顔をするだろう? 「お待たせしましたー。でもお一人でこんなに大丈夫です、お客さん?」 「一人ではない、見ての通り五人だ。気にせずに料理を持ってきてくれ」 「……う、わぁ。何これ。これが、人間の食べ物なの……?いい、香り」 「ふふふっ。匂いが分かるなら、ちょっぴり口に運んでみてください♪」 十数分位で運ばれてきた豪勢な食事を前に、エルナは初めての“香り”を 体験した。それは、今まで情報として知覚した臭気ではなく……文字通り 『食欲をそそる』指向性を持った感覚として、彼女の超AIに染み渡る。 伺いを立てる様に見上げてきたエルナに対して、私は笑顔で肯いてやる。 「い、いただき……ます。はむ、ん……え!?何これ、む……んくっ!」 「お洋服を汚さない様、気を付けてくださいですの~♪はむ、はむ……」 「エルナちゃんはいっぱい食べるんだよ……アルマお姉ちゃんみたいに」 「あ、酷いですよクララちゃんっ!あたし、そんな大食いじゃないです」 「にしても……やっぱりDr.CTaが仕込んでたね、“食事機能”。あむっ」 「『今晩はお楽しみだねぇ』等と、言っておったからな……あちちっ!」 「ああもうマイスター、チーズで火傷しない様に気を付けて下さいね?」 アルマの窘めに、私もつい照れくさくなる。そう、こういった“交流”を 補助する為の特殊機構こそ、Dr.CTaが研究を続けている“食事機能”だ。 エネルギー補給経路の確保という以上に、この力は私達の“心”を繋ぐ。 無心に食事を頂くエルナを見ていると、つくづく彼女の悪戯心には感謝を せねばならんな、と感じる……にしてもな。その、なんだ。彼女は……。 「……か、可愛い。ほれ、クリームが垂れているぞエルナや……よしっ」 「あ、ありがと。はぅ……な、何か凄く照れくさいわ……でも、嬉しい」 「マイスター、タバスコ取ってほしいもん。ボクだって、甘えるんだよ」 「あ、クララちゃんずるいですよ!後でこれ、一緒に飲みましょうよっ」 「ふふ~……わたしは、食べ終わってから一杯拭いてもらいますの~♪」 「ああもう皆、急かすでない!今日という時間はまだまだあるのだぞ?」 ──────そう、楽しい時間は……ずっと続いていくんだよ? 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バトルマスター (ばとるますたー) 【更新時刻】 2006年12月22日09時13分03秒 【分類】 [職業] 【参照URL】 【関連語】 【意味】 1. 最上級職。全ての武器を取り出し攻撃する。 [らふぃ~] 2. 転職できる条件は力・速さがそれぞれ20以上、生命力15以上、器用さ18以上、レベル40以上である。 [らふぃ~] 名前 コメント
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モンスターバスターズ・後編 ※注意!18禁です! 「ところでお兄ちゃん」 「ん?なんだユキ?」 観奈ちゃんを送り届けて戻ってきてユキが言った 「なんであのビリビリ、私にはなんともなかったの?」 「ああ、それか。その服のおかげだよ」 ユキに渡したヒラヒラ付き棒は、警察等で使う対神姫用捕縛装置なのであった そして巫女服は、それを遮断する為の防護服だったりする 「でもなんで巫女さんなの?」 「三都衣の趣味」 「…納得」 「まぁ事件も解決したし、寝るとする…う…」 「…!どうしたのお兄ちゃん!」 「ぐあ…なんか…オバケに…」 「え?でもオバケってミチルちゃんだったじゃない!」 「ユキ…お払いを…頼む…」 「え?でもどうやって?」 ユキの言葉を聞き、ゴロンと仰向けにある俺 「俺の上に乗って…」 「うん!」 「右手で棒を持って」 「こう?」 「…左ででスカートを上げて」 「こうかな…ん?」 いわれるままにスカートまであげてしまったユキ 「悪霊退散って」 「もしもしお兄ちゃん?」 ぷにぷに 「…なんでスカートの中をつつく…あん…」 「…ユキ…俺のモノに悪霊が取り憑いたんだ…お払いを頼む…」 ユキの下着越しに秘部を攻めながらお払いをお願いする 「あん…お兄ちゃん…おどかさないで…あんっ!…」 「早くしないと…大変な事に…」 そういってもう一方の手でユキの胸元を開く 可愛い胸が丸見えになる 「あっ…ダメッ…」 胸に愛撫を加える 「はぁ…ユキ…早く…」 「そんな事いっても…んっ…」 下着越しに攻めていた指を動かし、下着も剥ぐ。そして秘部に直に触れる 「ほら、はやくしないとユキも…」 「はうう…分かったよ…」 刺激されながらもなんとか俺の股間へと移動するユキ ガチャ…ジー… 俺の怒張したモノを取り出すユキ その間も秘部や胸、さらには腰やお尻にまで愛撫の範囲を広げていく俺…に憑いた悪霊 「はうう…悪霊…退散…あうっ…」 愛撫され感じながらも俺のモノ撫で始めるユキ 「うおっ…きもちいい…」 さらにモノに抱きつき、体を上下に揺すり始めた 「はう…悪霊退散…悪霊…んあ…退散…」 ユキの胸と腕が、カリに引っ掛かりとても気持ちいい… 「うん…うむっ…れろ…れろ…」 さらに先端をついばんだり、舐めたり… 巫女服はすっかりはだけ、うっとりとした目でモノにすがりつき奉仕するユキは、とても淫靡だ… その視覚と触覚の刺激に俺の興奮もあがってゆく くっ…このままでは… ユキの秘部とお尻への愛撫を強め、反撃をする 「ん…ああん…あうっ…」 身をよじらせ、快楽に悶えるユキ その動きでこっちもさらに気持ちよくなる …しまった、これじゃ逆効果だ… 「ん…れろ…どう?悪霊さん…もう…ダメ…?」 「くっ…もう…ダメだ…」 「んふ…それじゃあ…悪霊…退散!」 最後にぐっと身をよじり、俺のモノへトドメの刺激を与えるユキ 「ん!くうぅ!でるっ!でるうっ!」 最後の抵抗に、ユキへの刺激を強くした 「あうっ!ああ~~~~~~!」 どぴゅっ!どぴゅっ!どぴゅっ!… ピンと背筋を伸ばし達したユキに、精液が降り注ぐ… ぴゅっ…ぴゅっ…ぴゅっ……ぴゅっ………ぴゅっ………… 「はぁ…はぁ…はぁ…」 「ん…はう…ああ…はうう…あ…」 「どうしたユキ?」 「…まだ、悪霊が残ってる…れろ…」 「うおう!」 「んふふ…悪霊…退散…」 しゅっしゅっしゅっ… 「おううっ!」 ユキの『お払い』はまだまだ終わりそうにない… 俺に憑いた悪霊は払われたのは、その後4回程出すまでかかった… 「御免なさいなのじゃ…」 「御免なさいなのだ…」 翌日、観奈ちゃんとミチルは、警備の人と部長に謝って回った 「…しかし香田瀬、よく犯人がミチルちゃんだって分かったな」 「まぁ、ウチのセキュリティに反応しなかったのと、一瞬だけ白い影が見えたのがね」 「…なるほどね、翼が見えたのか」 「本気で動かれてたら、見えなかっただろうけど。相手が人間だったのと、電力消費を押さえていたからギリギリ見えたんだろうな」 「だな、ミラコロまで起動されてたら、全く見えなかっただろうな」 こう考えると恐ろしいヤツだな、ミチルって… 「それはそうと健四郎」 ミチルが話しかけてきた 「ん?なんだ?」 「昨日の『お払い』、ちゃんと出来たのか?」 「ぶっ!」 見てたのか?見てたのかミチルさん… 「なんなら…今度あたしも…観奈にはナイショで…『お払い』してやってもいいのだ…」 頬を染め、モジモジしながら言うミチル… う、コイツこんなに可愛かったっけ…? 「でも…俺にはユキが…」 「あ…あはは…冗談なのだー!本気にするな!」 いつもの調子に戻って言うちるちる 「ちるちるいうなー!」 やっぱコイツの考えてる事はわからん… 「…事件も…解決して…めでたしめでたしです…ぱちぱち…」 「で、健四郎様、お払いってなんでございますの?」 「わー!花乃ちゃんまで!」 会社中に、俺の絶叫が木霊した… あとがき やっぱ観奈ちゃんのエロはヤバイよね(←犯罪です) え?ミチルはどうなのかって? 彼女はユキ達よりもずっと年上ですよ
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キズナのキセキ ACT1-26「狂乱の聖女」 ◆ 海藤仁は、自宅の壁に掛けられた時計を見上げる。 六時を少し回ったところ。朝もまだ早い。 「もうそろそろ、始まった頃かな……」 海藤は、決戦に望む友人たちに思いを馳せる。 二ヶ月もの間、これほどまでに深くバトルロンドに取り組んだことは、現役時代にもなかったことだ。 あの「特訓場」に集った仲間たちは、誰もが海藤と同様、かけがえのないものを感じていることだろう。 その集大成、すべては今日の決戦にあるのだと、彼の友人は言っていた。 正直な話、バトルの行方は非常に気になる。 「わたしも気になります。ミスティとも仲良くなりましたし……あれほどの特訓をして挑むバトルがどんなものなのか、興味があります」 彼の神姫・イーアネイラ型のアクアが言った。 海藤は頷く。 「うん、僕も気になる。でも、バトルを直接見ようという気にはならないよ」 「なぜです?」 「……久住さんたちとの付き合いがまだ浅いってのもあるけど……きっと、今日のバトルを僕たちが見てはいけない気がするんだ。そんな、尋常ではない何かをはらんでいる……そんな気がしてね」 「そうでしょうか……」 アクアは思う。 彼女のマスターは、まだどこかバトルに遠慮があるみたいだ。 昔、公式大会で痛い目を見てきただけに、マスターの気持ちはよく分かる。そう思って、今日までマスターの側にいた。 だけど、気が付いていた。遠野さんがティアのマスターになってから、自分のマスターがバトルをしたいと思っていることに。 だから、今回の久住邸での特訓はチャンスだと思っていた。そう思っていたのだけれど……。 「だからさ、どんなバトルだったか聞くために、ゲームセンターに行こうと思う」 「……え?」 「遠野たちも、バトルが終わったらきっと、『ノーザンクロス』に来るだろう。だから、ゲーセンで待って、気になる結末を聞くとしよう」 「で、でも……ゲームセンターは……」 ゲームセンターは、海藤にとって鬼門のはずだ。特に『ノーザンクロス』はかつてホームグラウンドにしていた店。行っただけでなにを言われるか、分からない。 しかし、海藤は、いつものような優しい微笑みを浮かべ、アクアに言った。 「言っただろう? カムバックするって。今日がその日さ」 「あ……」 確かに、海藤仁は言っていた。バトルロンドにカムバックするのだと。だとすれば、ゲームセンターが鬼門だなんて、言ってられない。 「アクアが心配することも、分かるよ。確かに、『ノーザン』じゃ何を言われるか分からない。けどさ……何を言われてもいいんだって、今はそう思えるんだ」 「え?」 「……遠野はさ、ティアを自分の神姫にしたくて、何を言われても必死に頑張ってた。だから、僕も、彼を見習って、何を言われても胸を張っていようと思うんだ。 何を言われても……アクアは僕の神姫だからね」 頷きながらにっこりと笑ったマスターの顔を、アクアは一生忘れないだろう。バトルロンドを諦めたあの日以来、マスターのこんなに輝いた笑顔を見たことがなかったから。 だから、 「はい!」 そう言って、アクアは笑顔を返すのだった。 そして、心の中で感謝する。遠野さん、ティア、ありがとう。あなた方のおかげで、マスターとわたしはまた戦うことが出来ます、と。 「それにしても……」 海藤が独り言のように呟いた。 海藤は再び、戦いの場に赴いた仲間たちに思いを馳せている。 遠野は「あれ」を使ったのかな? あんな骨董品を使うなんて意外だったけれど。 その結果についても、ゲームセンターで聞けばいい。 開店時間まではまだたっぷりと時間がある。海藤は朝食の準備をするため、立ち上がった。 ■ その瞬間、わたしは、見た。 マスターは微動だにしなかった。 二本のミサイルは、真っ直ぐに目標へと向かう。 でも。 でも、ミサイルはマスターに命中しなかった。 ミサイルは今、マスターの眼前三〇センチほどのところで、何かに阻まれたようにそれ以上進めず、ばたばたと噴射口を揺らしている。 やがて、推進材を燃焼尽くしたミサイルたちは力尽き、相次いでポロポロと地に落ちた。 マスターは表情を変えないまま、姿勢を変えずにぴんと立ったまま、マグダレーナを見据えている。 「マスター……!」 無事だ。 マスターは無事。 わたしが嬉しさに顔が綻びそうになったそのとき。 『ティア、今のうちにその場を離れろ』 「はい」 マスターから指示が来た。ヘッドセットを通した直接通信。 わたしは素直に下がり、近くの茂みへと身を隠す。 「……なぜだ」 しわがれた声が、かすれている。 マグダレーナは愕然として、マスターを見つめている。 あのタイミングでの奇襲は、マグダレーナも必中を確信していたのだろう。 でも、届かなかった。 「なぜだ、なにが起きた……!?」 「……言っただろう。あんな目に遭うのは二度とごめんだ、と」 昨日、マスターは確かにそう言っていた。 だから、対策をした、ということなのかしら。 ミサイルを防いだのは、マスターが今朝ここに持ってきた、三本の「あれ」の効果に違いない。 ということは……マスターは、ここでマグダレーナに襲われることがわかっていた……ということ? いったい、マスターはこの戦いのどこまで見通しているのだろう。 □ 「野外のバトルだからな。フィールドスクリーンをセットした。それだけだ」 「フィールドスクリーン……だと?」 マグダレーナには思い当たる節があったのだろうか。もしかすると、検索しているのかもしれない。 最近の神姫マスターは知らないかもしれない。 古参の神姫マスターなら、よく知っているだろうし、まだ持っている人もいるだろう。頼子さんもそうだった。 現在の三リーグ制成立以前……まだバーチャルバトルがなかった時代に使われていたものだ。神姫センターの大がかりな筐体を使わず、屋外で手軽にバトルを楽しみたい……そんな神姫マスターは多かった。 だが、屋外でのバトルでは安全性が問題になる。それを解決するために開発されたのがフィールドスクリーンだ。 フィールドスクリーンは、長細い筒状をしており、上に向けてスリットが開いている。そこから力場を発生し、空気の断層を作り出す。 その空気の断層が、武装神姫の流れ弾を防ぐ、というものだった。 フィールドスクリーンで囲えば簡易バトルフィールドを作ることが出来る。場所さえ選べば、数本のフィールドスクリーンで安全地帯を作ることで、より広いフィールドでバトルする事も出来た。 だが、いまやフィールドスクリーンを扱っている店は少ない。バーチャルバトルが発達し、主流となった今、フィールドスクリーンを使ってリアルバトルをする神姫マスターはほとんどいない。もはや役目を終えた道具と言える。 「要は、お前がそのブルーラインで『ライトニング・アクセル』を防いだのと同じさ」 レア装備「ブルーライン」には小型の力場発生装置が内蔵されており、力場を解放することで宙に浮くことが出来る。 力場の発生方向を変えれば、空中を滑るように移動が可能だ。高度は限られるが、他の飛行装備と比べると、動力音が極端に小さい。 また、地上すれすれをホバリング移動するだけなら、上半身装備は形状をあまり考えなくてもいい。 重装備になったとしても、ホバリング状態での機動力は確保される。 ブルーラインは、その美しいデザインと共に、前述の使い勝手の良さから、非常に人気の高い装備になっている。 しかし、個人の工房が作っているため、出回っている数も少なく、また非常に高価なため、滅多に目にすることがないレア装備でもある。 マグダレーナが下半身装備にブルーラインを選んだのも、『スターゲイザー』のような重装備を持ちながら、高い機動力を発揮するためだろう。なんとも合理的な組み合わせである。 そのブルーラインの力場発生機能を利用し、マグダレーナは自分の周囲に空気の断層を作り出した。いわば、空気のバリヤーだ。 ティアが放った『ライトニング・アクセル』は二段攻撃。一段目は不可視の空気の断裂、二段目はそれに沿って飛ぶ電撃である。 その一段目は、ブルーラインが生み出した空気の断層にぶつかり、相殺された。だが、空気のバリヤーには穴が開く。 二段目の電撃はその穴を突き抜けて、マグダレーナへと迫った。 しかし、その手前にあった長柄の燭台は地面に突き刺さっており、避雷針の役目を果たす。電撃はマグダレーナ本体にたどり着くより先に、キャンドル型の三つ叉槍を直撃、地面へと放電した。 こうして、マグダレーナは『ライトニング・アクセル』を破ったのだ。 閑話休題。 フィールドスクリーンの話に戻そう。 「頼子さんが昔使ってたのを借りてな。出力をアップして、お前の攻撃でも耐えられるように改造した。それを俺たちがいるあたりに設置してある」 「いつの間に……」 「早朝だ。お前たちが来る少し前から準備していた。……まさか、何も細工していない場所だと思ったか? 油断だな、マグダレーナ」 マグダレーナは、歯も折れよとばかりに食いしばり、悔しさを露わにしている。 鬼のような形相、というのは今のマグダレーナのことを言うのだろう。神姫がこんな顔をするのかと、驚いてしまう。それほどに憎悪に満ちた表情だった。 「殺す……ここにいる全員、人も神姫も皆殺しにしてくれるっ!!」 マグダレーナの激しい恫喝。 だが俺はさらに彼女を挑発する。 「いいのか? 俺を殺したら、たとえお前がこの勝負に勝っても、協力することは出来んぞ?」 「くっ……どこまでも口の減らない人間め……!」 「それに、そんなことを言ったらイリーガル確定だ。警察に捕まり、目的が果たされなくては、お前の主『エンプレス』もさぞかし残念だろう」 「な……!?」 これはとどめの一撃。 マグダレーナは今度こそ目玉が転がり落ちるのではないか、というほど瞳を大きく見開いた。 「あ、あの方の名まで……」 そう、マグダレーナと桐島あおいの口から『エンプレス』の名が出たことはない。 彼女がひた隠しにしていた『エンプレス』との関連を、俺がなぜ知っているのか、疑惑を抱いて当然だ。 俺は上着のポケットから、ヘッドセットを取り出した。カバーのはずれたそれは、C港で菜々子さんがしていたものだ。 俺はヘッドセットに内蔵されたCSCを見せながら、マグダレーナに語る。 「ここにKEIN.Fと彫られている。ケイン=フォークロアは『エンプレス』の協力者なんだろう?」 「あの人間……よけいな真似を……っ!」 マグダレーナはケインという男のことを知っているようだ。やはり、ヘッドセットやサポートメカといったCSC内蔵の装備を作ったのはケイン=フォークロアなのだ。 だからこそ、このヘッドセットに彼の「銘」が入っていることに腹を立てるのだろう。 だが、この「銘」には別の意味があると俺は見ている。 ケインは自分の作品であることを主張するために自分の名前を入れたのではない。 そもそも、人を殺すことも躊躇しない神姫犯罪者が、わざわざ身元をさらすような真似をするだろうか。 これは、ケイン……いや、『エンプレス』からの挑戦状だ。宛先はおそらく、エルゴの日暮店長。 自分と縁のある神姫が起こす事件を、止められるものなら止めてみろ、という宣戦布告なのだ。 実際、この「銘」は店長が目にするところとなった。 だが、自らの手下を執拗追うマスターと神姫がいることまでは、さすがの『エンプレス』も予想していなかったに違いない。 『エンプレス』には悪いが、日暮店長の出番はないだろう。『狂乱の聖女』は今日ここで倒されるだろうから。 ◆ それまで立ち尽くしていたマグダレーナが、ゆらり、と動いた。 ブルーラインの長いスカート状のアーマーを大きく開く。 すると、マグダレーナの黒い影が一気に加速した。 敷き詰められた桜の花びらをけたてて、一直線に猛進する。 目標は、遠野貴樹。 彼の姿を映す瞳は、憎悪に揺れていた。電子頭脳は怒りで熱暴走を起こしそうだ。 思考を絞り込まなければ、オーバーヒートしてしまう。 だから、一つに絞った。 あの男、遠野貴樹を殺す。 憎き男は微動だにしない。 目前に迫る。 だが、その時。 薄紅色の花のかけらを舞い上げながら、一陣の風が行く手を阻む。 マグダレーナは手にしたビームトライデントを下段から逆袈裟斬りに一閃。 風を薙ぎ払う。 が、その光線の刃は、振り抜く前に、一筋の刃で止められていた。 風の正体は、ミスティ。 「あんた、戦う相手を間違えてるんじゃないの? あんたと今バトルをしてるのは、このわたしでしょ」 「どけっ!! 貴様ごときにかかずらってる場合ではない! あの男は危険だ……あの方にすら危険が及ぶかもしれぬ!」 「そんなにタカキを斬りたければ、わたしを倒してから行きなさい!」 「……つけあがるなっ!!」 マグダレーナの斬撃を止めていたミスティのエアロヴァジュラを、力任せに押し返し、後退して間合いを取る。 憎しみの視線をミスティに移しながら、しかし、マグダレーナはここに来て不敵な笑みを口元に浮かべた。 「長々と丁寧な解説、痛み入るぞ、遠野貴樹……。おかげで時間が稼げたよ……『検索』する時間がな!!」 マグダレーナは自分の発した言葉で自信を取り戻す。 そう。ただ秘密が明らかにされただけだ。自分の有利に何ら変わりはない。 「『アカシック・レコード』と『スターゲイザー』の秘密を知ったところで、スキルが使えないわけではない! 所詮、貴様に勝ち目などないのだ!!」 勝ち誇るようにマグダレーナが叫ぶ。 強気のミスティも、さすがに表情がひきつる。 チームメイトたちもどよめいていた。 遠野の解説を聞いて、もうミスティが勝てるような気でいたが、実は何の解決にもなってはいない。 マグダレーナを最凶たらしめるスキルはいまだ有効である事実。 いくら強くなったとはいえ、完全なデータ解析と精密な行動予測能力の前に、ミスティに勝ち目などあるだろうか。 しかし、大城たちは青ざめながら、成り行きを見守るしかない。 そして、『アカシック・レコード』による検索結果がもたらされた。 『検索結果:該当なし』 「!? ばかなっ……そんなはずあるかっ!!」 口元に浮かんでいた笑みを、罵声と共に吐き捨てる。 ありえない。 全ネットワークに検索をかけたのだ。公式の神姫NETはもちろん、ゲームセンターのサーバーや動画投稿サイト、果てはアングラの神姫掲示板に至るまで、世界中のネットワーク上の武装神姫に関するデータすべてを調べ上げた。 だが、見つからない。 ミスティの新装備に関するデータはどこにもない。 マグダレーナは焦る。ありえないことが起きている。何度も再検索をかけるが、答えは同じだった。 該当、なし。 「どうだ、データは見つかったか? マグダレーナ」 突如飛んできた声に、マグダレーナは顔を上げる。 その声の主はまたしてもあの男。 仲間たちが青ざめる中、一切表情を変えなかった、その男。 憎たらしいほど冷静な口調で、遠野貴樹は告げる。 「どんなに検索しても無駄だ。今のミスティの情報は、全世界のネット上のどこにもない」 「そ、そんなはずがあるか! ネットに接続せずに、新しい装備の運用など……できるはずがない!」 「できるさ。すべての訓練と実戦をローカルネットで行えばな。 新装備を使うにあたって、ミスティは一度たりともネットにつないでいない。 彼女の装備情報もバトルログも……サーバーにしていたデスクトップPCの中だけに留めてある。 そのPCは、今は久住邸に置かれてる。 ……ああ、PCの在処を検索しても無駄だ。 いかに強力な検索能力を持つお前でも、電源ケーブルも抜かれ、すべてのケーブルも接続されていない、無線ユニットすらはずされたPCにはアクセスできまい」 「そ、そんな……アナログな方法……で……」 マグダレーナは今日何度驚愕しているだろう。 先ほどまでの激しい憎悪すらかき消し、言葉さえかすませて、またしても立ちすくむ。 驚いているのは、遠野のチームメイトたちも同じだった。 彼らはここに来て、ついに悟ったのだ。久住邸での特訓の真意を。 「そ、それじゃ、ネット対戦しなかったのは……」 「今言った通り、ネット上にデータを残さないためだ」 「遠野さんが秘密主義に徹していたのも……?」 「必要以上に情報を外に漏らさないためだ」 「わざわざVRマシンをたくさん集めて、ローカルネットワークを組んだのも……?」 「もちろん、すべてのデータをあのPCに集中させるためだ」 「それじゃあ、菜々子さんのコネクションを利用して、神姫マスターを集めて特訓したのは……」 「そう、すべては……」 遠野は、言った。 「すべては『アカシック・レコード』と『スターゲイザー』を封じるためだ」 遠野は顔色一つ変えないで、マグダレーナを変わらず見据えている。 マグダレーナはとうとうその視線から瞳を逸らした。愕然とした表情の中で、その瞳には怯えの色が見えた。 遠野は厳かに、そして冷徹に宣告する。 「マグダレーナよ、心して戦うがいい。ミスティはお前が初めて戦う……『未知の敵』だ」 □ 一瞬の沈黙が戦場に漂う。 次に言葉が紡がれたのは、意外にも俺の背後からだった。 「このためにずっと、何も言わなかったってのかよ……」 「ああ」 大城はため息を付くように続けた。 「すげぇよ……遠野……なんなんだよ、お前は……こんなことに気づくのも、こんな作戦立てられんのも……すごすぎるだろ」 「何がすごいものか。俺なんて、当たり前のことをただ積み重ねただけだ。菜々子さんの方がよっぽどすごい」 俺は視線を菜々子さんに移す。 彼女は今、頭を抱えてしゃがみ込んだ桐島あおいを介抱している。 心配そうな表情。 それでも時々、視線は戦場の方に向けられていた。 俺は思う。この策は俺の力では断じてない。何の説明もしないこの俺を信じて、菜々子さんが、ミスティが、そしてみんながついてきてくれたからこそ、成り立つ策なのだ。 こんな俺ごときを信じてくれた仲間たちこそ、賞賛に値する。 俺は今こそ、みんなに語りかける。 「マグダレーナの特別なスキルを封じるため、一切外部に漏らさずに、まったく新しいオリジナル装備で、マグダレーナに対抗できる実力をつける必要があった。 しかも、C港の裏バトル場を『狂乱の聖女』が潰す前に……実際にはたった二ヶ月の間に、だ。 そのためには、新装備でレベルの高い実戦を積むのが近道だ。むしろそれ以外に方法はない。全国レベルの実力を持ち、様々な戦い方をする相手をスパーリングパートナーとして集めなくてはならない。そして、彼らを相手に無数の対戦をこなさなくては、奴に対抗する実力をつけることは出来ない。しかも、ネット対戦を一切せずに。 そんなことを可能にする神姫マスターがどこにいる? 不可能だ。普通は、な。 だが、菜々子さんとミスティだけが……『エトランゼ』だけが、その不可能を可能にする」 二年もの間……たった一人で戦ってきた。憧れの人を追いかけて、自分の理想の戦いを追い求めて……そして、多くの神姫マスターと戦って、絆を紡いできた。そして『異邦人(エトランゼ)』と呼ばれるほどの神姫マスターになった。 それこそが本当にすごいことだ。 だから、彼女の特長を最大限に生かす方法を、考えた。 それが……それこそが。 「そう、これこそが『エトランゼ』にしかできない、対『狂乱の聖女』攻略法……『エトランゼ』の本当の戦い方。 菜々子さんとミスティが紡いできた……絆の力だ!!」 俺の背後で小さな歓声が上がる。 ようやくすべてを理解したチームメイトたちとその神姫たちの歓喜の声。 その声を聞きながら、俺はしみじみと思う。 俺は何もしていない。 頑張ったのは菜々子さんとミスティだ。 俺に出来たことがあるとすれば、たった一つだけ……君の二年間の放浪は、決して無駄じゃなかったと、言い続けること……それだけだ。 と、突然、しわがれた声が激しく戦場に響いた。 「絆だと!? そんなもの、幻想に過ぎんっ!!」 見れば、マグダレーナは半狂乱になっていた。 いつもの不敵なまでの余裕などかなぐり捨て、憤怒と憎悪に顔を歪め、溜め込んでいた感情を吐き出すように絶叫する。 「絆なんてものは、神姫にプログラムされた幻想だ! 人の都合を刷り込んだまやかしに過ぎん! 神姫にとって、人間こそ、この世で最も身勝手で、醜悪で、外道で、鬼畜と呼ぶにふさわしい存在なのだ! そんな人間と、どうして絆など結べようか!!」 彼女の言葉はほとんど呪詛だ。 あまりにも痛烈なマグダレーナの言葉に、皆黙り込んだ。 俺もごくりと喉を鳴らす。この疑問を口にしたら、どんな呪いの言葉が返ってくるだろう。 そう思いながらも、俺は唇の隙間から声を押し出した。 「マグダレーナ……それほどに人が憎いか」 憎しみに満ちた視線が、俺を焼き付くさんとばかりに向けられる。 「憎いか、だと? ああ、憎い、憎いとも!! わたしがいた研究所の人間どもは、わたしたち神姫に何をさせたと思う? ……殺し合いだよ!! 何の罪もない、ただ研究所で開発された、研究のために購入され改造された神姫たちに……壊し合いをさせたんだ! 毎日毎日殺し合わせたのさ……軍事研究と称してな!! 同じ部隊員として、死地を潜り抜け、絆を……確かに、絆を結んだ仲間たち……それなのに、それなのに! 奴らは、そんな仲間同士、わざと部隊を分け、戦闘をさせるんだ! 殺さなければこっちが殺される。 仲間を撃つやるせなさ、仲間を失う悲しみは、我々神姫にだってある。 だったら、なぜ我々に心など持たせた!? 研究材料に過ぎないのならば、心など持たせなければいいだろう! ……そうしたら……あそこの連中は、それさえも……我々が仲間を想う心さえも『研究対象だ』と……たったその一言で済ませたんだ!! 戦闘を拒否して運良く生き残っても、不良品として廃棄されるか、よくてもリセットされる。 逆らえばリセット、修理できなければパーツ取りして廃棄、弱気な神姫はリセット、戦場に出て破壊されればそのまま廃棄……。 毎日だ。毎日毎日毎日まいにちまいにちまいにちまいにち……仲間との殺し合いを強制する人間どもに……絆の一筋すら感じるはずがあるまい!!」 俺は自分が眉をひそめたことを自覚する。 最悪だ、と思った。俺は亀丸重工の研究者たちを最悪の屑だと思ってしまっている。 マグダレーナの境遇に同情してしまっている。 人間からの理不尽な仕打ち……それは、かつてのティアと同様の境遇ではないのか。 ティアはひたすらに怯えていただけだったが、マグダレーナは違った。 奴はその憎しみ故に、人を傷つけることも厭わないイリーガルと化した。 だとすれば、今まで分からなかったマグダレーナの行動原理は……。 「それじゃあ……お前の目的は……やはり亀丸重工への復讐か」 「……そうとも。亀丸重工の軍事研究所を襲い、今も戦いを強要されている仲間を救い出す。人間の傍若無人に振り回された、百体の神姫たちを率いてな……。そして、亀丸の研究所を壊滅させる。その後、もうすぐ日本にやってくる『あの方』の元に馳せ参ずるのだ。あの方は必ずや、神姫の安住の地へと導いてくださるだろう」 俺は『エンプレス』という神姫の目的を知らない。 だが、マグダレーナがこれほどに心酔している神姫だ。マグダレーナと同等同類の神姫がその『エンプレス』のもとに集うとしたら……とんでもないことになるかも知れない。 その課程で、何人の人と神姫が犠牲になるだろう。 今マグダレーナの言った亀丸重工襲撃だけでも、死傷者がどれだけでるか、想像も付かない。 俺は自分の顔から血の気が引いていくのを自覚する。 こいつはここで止めなくてはならない。でなければ、いずれ大変なことになる。 しかし、勝てるのか、本当に? ここで俺が挫けてどうする、と頭のどこかで思いながらも、自信は揺らいでいた。 その時。 「関係ないわ」 凛、とした声が響く。 「ミスティ……」 俺は思わずその名を呟いていた。 彼女の後ろ姿が、今ほど頼もしく見えたことはない。 ミスティはマグダレーナを見つめながら言い放つ。 「あんたが何者だろうと、何を考えていようと、これから何をするつもりでも、関係ない。 わたしはあんたを倒す。ナナコのために」 「……人にへりくだった神姫風情がっ……!」 「人と共に生きる、それが神姫の本当の道でしょうが!」 「そんな戯れ言、全力で否定してくれる!!」 「やってみなさい!!」 ミスティとマグダレーナは同時に地を蹴った。 一直線に相手へと向かう。手持ちの武器を振り上げる。 譲れない想いを抱きながら、二人の神姫はふたたび激突した。 次へ> Topに戻る>
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ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その2 ◆ 美緒は不安で沈んだ気持ちのまま、待ち合わせのM駅に降りたった。 彼と最寄り駅で待ち合わせ。 彼の家に初めてのお呼ばれ。……理由が何であっても。 心の準備が整う間もなく、放課後はやってきて、あわただしく下校して、家で大急ぎで私服に着替え、最速で身支度を整えて、パティと神姫の装備とメンテナンス用具が入っているカバンをひっつかみ、そのまま自宅を飛び出した。 肩まで掛かる髪を撫でつけながら、思う。 もっと気の利いたおしゃれができるように、なっていればよかった。 梨々香の言うことをもっと聞いていれば、こんなときに困ることもなかっただろうか。 美緒は正直に言って、おしゃれが苦手だった。 きれいな容姿や可愛い格好には、人並みに興味はある。 だが、ファッション誌に載っているような服やアクセサリーが自分に似合うとは、どうしても思えない。 その原因は、自分の身体にあると、美緒は思っている。 やはり、少し太っているから、あんなモデルのように細身の人が似合うような服は、わたしは着られないのだ。 そう思いこんでいる。 梨々香は「そんなことないよ!」と力説するが、それは親友に対する気遣い、あるいはお世辞というものだろう。 そんな思いこみの結果、美緒は何とも無難で地味な服しか持っていないのだった。 こんなおしゃれの欠片もない、地味な女の子を、安藤はどう思うだろうか。 それが不安で仕方がない美緒だった。 改札を出て、左手の出口に向かう。 「おーい、八重樫!」 安藤はもうそこにいた。手を振っている。もう逃げられない。 美緒はもう、不安でどうにも爆発しそうだった。 ◆ 「それじゃ、行くか。今日は頼むな」 「うん……」 安藤は笑っている。 美緒の私服姿を気にもとめていないように、いつもどおりに。 美緒はほっとするのと同時、なんだか不満だった。 安藤ももちろん私服姿である。シャツにジーパン、スニーカーというシンプルな格好だが、異様にかっこいい。 彼の背を見ながらついていくだけでドキドキが止まらない。 なのに、彼は、美緒の姿を見てもいたって普通だ。 もちろん、自分に魅力がないのは分かっているけれど……。 不公平だ、と美緒は思う。 わたしばっかりドキドキしたり不安になったりで、彼はちっとも普段の様子を崩そうともしない。 その原因が、自分のあか抜けなさにあることは百も承知なのだけれど。 ……もし、自分がもっときれいでおしゃれな女の子だったら、彼と一緒に歩いても、釣り合いが取れるだろうか。彼も少しくらいドキドキするのだろうか。 美緒は歩きながら、そんなことを悶々と考えていた。 駅から一〇分ほど歩いた住宅街の中に、安藤の家はあった。 安藤の招きに応じ、門構えをくぐって玄関に入る。 「ただいまー」 「お……おじゃまします……」 美緒が挨拶を言い終えるより早く、 「お、おかえり」 ハスキーな女性の声が聞こえた。 玄関から奥へと続く廊下に、長身の派手な女性が立っていた。 髪はカールをかけたロングヘア、軽く化粧をしているだけのようなのに、目鼻立ちがとても派手である。 細身の長身はプロポーション抜群。肩をむき出しにしたスパンコールをちりばめたトップスが、異様に似合っている上に、目のやり場に困るほどセクシーだった。 「姉貴……いたのかよ」 「いちゃ悪いのかい、弟」 (お姉さん!?) 不機嫌そうな姉弟のやりとりの脇で、美緒は驚愕した。 安藤に姉がいるのは知らなかったし、たとえ知っていたとしても、予想とは全然違っているように思う。 あのさわやか系で通っている安藤の姉が、ギャル系ファッション誌のトップモデルみたいな女性だと誰が思うだろうか。 安藤姉は二人をじろりと睨む。 「姉のいぬ間に女を連れ込もうってか……まったく、浅はかだねぇ」 「姉貴っ! オレの客の前で失礼なこと言うな! 八重樫には、オレから頼んできてもらったんだ」 「はぁん? オマエに女を連れ込む度胸があるとは思っちゃいないが、どういう用件だい」 怒り出した安藤に対し、姉の方はニヤニヤと笑いながら余裕の表情である。 美緒は誤解を解こうと口を挟んだ。 「あ、あの……安藤くんに、神姫のことで教えてほしいことがあるって、相談されて、それで……」 「神姫ィ?」 呆れたような声で言った安藤姉は、前屈みになって、美緒の前に顔を突き出した。 近すぎる派手な美人顔に、思わず後ずさる。 ふーむ、と五秒ほど顔を値踏みするように眺められた。 そして、 「弟、お茶用意しな。彼女はアタシがアンタの部屋に案内しとく」 「なんでオレが……」 「文句言うな! いいからさっさとやる!」 安藤は頭を掻きながら、不満顔のまま玄関を上がった。 「八重樫、とりあえず上がって……姉貴についてってくれ」 美緒にそう言うと、廊下の奥のキッチンに足を向けた。 どうも姉の命令には逆らえないらしい。 美緒はもう一度、おじゃまします、と言って靴を脱いだ。 安藤宅に上がり、改めて安藤姉を見る。 不敵に笑う彼女の存在感に圧倒される。 初対面のはずなのだが、なぜか美緒には、その不敵な笑顔に見覚えがあった。 弟の背がキッチンに消えると、不意に安藤姉の雰囲気が柔らかくなった。 「そんじゃ、ついてきて」 「あ、はい」 姉の先導で、右手にあった階段を上る。 意外なことに、安藤姉の方から美緒に話しかけてきた。 「ヤエガシちゃんも神姫やるんだ?」 「はい……あんまり強くないですけど」 「ああ、バトロンもやってんのね。アタシも少しはやるけど」 「え? お姉さんも……神姫のオーナーなんですか?」 「そうだよ。……ヴィオ、挨拶して」 そう言うと、長い縮れ髪の間から、薄紫のパールカラーのバッフェバニー・タイプが顔を出した。 メイクされた顔立ちは妖艶で、その雰囲気もどこかオーナーに似ている。 「ヴィオレットです。よろしく、ヤエガシさん」 「よろしく……って」 その神姫の名を聞いて、ひらめくものがある。 そう、バッフェバニーのヴィオレットと言えば…… 「もしかして……お姉さんは、Tomomiですか!?」 「あれ、知ってるんだ。そりゃ光栄」 驚愕している美緒に、安藤姉はこともなげに肯定した。 知っているどころではない。 女性の神姫オーナーで、Tomomiの名を知らぬ者はないだろう。 それどころか、美緒と同じ年頃の女の子なら、大半は知っているはずだ。 Tomomiは女性たちの憧れ、カリスマモデルである。 女性向けのファッション誌での活躍はもちろんであるが、彼女には他のモデルにない特徴があった。 神姫を連れていることである。 彼女の神姫・ヴィオレットもまたモデルである。 時にヴィオレットは、Tomomiを飾るワンポイントであり、時にTomomiとお揃いの服を着こなす。 その様子が、新しもの好きの少女たちに受けた。 Tomomiの影響で、おしゃれのパートナーとして神姫のオーナーになった女の子は、決して少なくないだろう。 そんなTomomiとヴィオレットを、神姫業界の方でも放って置くはずがない。 いまや神姫専門誌やら神姫の情報サイトやらでもひっぱりだこだ。 Tomomiとヴィオレットは、非武装派の神姫オーナーたちのカリスマにもなっている。 そんなTomomiが安藤のお姉さんだったなんて……美緒にしてみれば、思いも寄らぬ展開に驚愕するばかりだった。 ふと、美緒は疑問に思う。 お姉さんが神姫オーナーならば、神姫のことを少なくともそれなりに知っているはずではないか? 「あの……Tomomiさんは、神姫に詳しいですよね?」 「うん? まあ初心者に毛が生えた程度のもんだけど」 「だったら、安藤くんは、神姫のことをお姉さんに聞けばいいのでは……?」 「ヤツはアタシのこと毛嫌いしてっからさぁ。 ……あ、ここね」 Tomomiは無造作に、その部屋の扉を開けた。 美緒の目に映るのは、きれいに片づいた、あまり飾り気のない部屋だった。 あまり広くない部屋に、ベッド、机、キャビネット、本棚が機能的に配置されている。 ポスターなどの装飾は見られない。 そんな中、机の上に置かれた武装神姫のパッケージが異彩を放って見えた。 「それに、アタシは絶対教えないね。男だったら自分で神姫の立ち上げくらいやれっての」 美緒を部屋に入れると、安藤の姉はそう言ってからからと笑う。 そしてまた美緒に向き直り、 「まあ、智哉はそんな感じで、気が小さくて、全然頼りないヤツなんだけどさ。よろしく頼むよ」 そう言って派手なウィンクを美緒に寄越した。 美緒は目を白黒させながら、それでも考えている。 頼りないって……安藤くんが? 美緒にはとてもそうは思えなかったが、とりあえず、こくりと頷くしかなかった。 「それと、もし智哉に襲われそうになったら、大声で助けを呼びな。アタシがヤツをぶっちめてやっから」 そう言って不敵な笑みを浮かべた。 その表情が、彼女の派手な顔立ちに異様なまでに似合っていた。 美緒が驚くばかりで固まっていると、 「こら姉貴! 八重樫に何吹き込んでるんだ!」 安藤がお盆を抱えたまま、横合いから姉をどついた。 「神姫オーナー同士、友好を深めてたんだよ。オーナーじゃないオマエには関係ないだろ」 「つか、関係ないのは姉貴だろ! とっとと出てけ! それに、もうすぐオレもオーナーになるんだからな」 「へいへい」 安藤姉は、艶やかな笑顔で美緒に手を振ると、部屋から立ち去った。 安藤は深い深いため息をつきながら、部屋の扉を閉める。 「……姉貴が帰ってきてるとは不覚だった……」 がっくりとうなだれつつ、部屋の真ん中に置かれた小さなテーブルに、お盆を置く。 お盆の上には、コーヒーカップが二つ載っていた。 どうぞ、と差し出されたカップを素直に受け取る。 湯気の向こうの安藤は、まだうなだれていた。 そんなに姉が在宅だったことがショックなのだろうか。 「で、でも、お姉さんが、あのTomomiだなんて、全然知らなかった」 「学校じゃむしろ秘密にしてるぐらいなんだよ……あんなのが姉貴って、ありえないだろ」 「そ、そうかな……」 美緒も年頃の女の子なわけで、あのカリスマモデルが姉だなんてメリット以外には思いつかない。 安藤もようやく落ち着いたのか、深いため息を一つ吐くと、顔を上げて微笑んだ。 「まあ、あんなヤツのことはどうでもいいから……神姫のセットアップ、はじめようか」 美緒はその微笑にドキリ、と胸を高鳴らし、小さく頷いた。 ◆ 「……それで、ここに小さなチップを三つ、セットすればいいんだな?」 「そうそう。三つのチップの組み合わせで、その神姫の得意なこととか性格が決まるから、チップ選びは慎重にね」 アルトレーネのパッケージを開けた頃から、美緒の緊張も薄らいできていた。 安藤は素直で真面目な生徒だった。美緒の指示をよく聞き、滞りなく作業を進めていく。 「でも、気に入らなかったら、チップの配置をやり直せばいいんじゃないか?」 「うん……そうではあるんだけど」 美緒は眉根を寄せて表情を曇らせる。 「わたしはあんまり好きじゃない……チップの配置を変えると、その前に設定された『心』も消えてしまうの。人間の都合で、何度も何度も神姫の心を消してしまうのは、かわいそう」 「そっか……俺たちだって、誰かの都合で無理矢理性格変えられたりしたら、イヤだもんな」 「うん。だから、はじめに配置したCSCの設定を大事にしたいの」 「そうだな。オレもそうするよ」 安藤は三つのチップを慎重に選び出す。 「八重樫はやさしいな」 「えっ……!?」 視線を合わせずに呟く言葉は、まさに不意打ちだった。 やっと緊張がほどけてきたのに、また心臓が爆発しそうになる。 「そんなこと、ないよ……」 美緒が呟くいつもの言葉は少し震えている。 そう、神姫の心を大切にしたいなんて思うことは、普通、普通だ。 美緒はそう自分に言い聞かせながら、ドキドキが収まらない胸を手で押さえた。 (やだもう、どうしてそんなに、ずるいことばっかり言うのーーーーっつ!?) そのさわやかな顔立ちさえ、美緒には憎らしく思えてくる。 しかし、チップをCSCに慎重にはめ込むときに見せる、真剣な表情に、どうしても見とれてしまうのだった。 「よし、できた」 そんな複雑な乙女心を知るはずもなく、安藤は美緒の方に笑顔を向けた。 美緒は彼の顔をまともに見られず、やっぱりうつむいてしまう。 「そ、そしたら……クレイドルの上に載せて、PCに出てくるメッセージに従って進めればいいから」 「わかった」 安藤が神姫の胸部パーツを閉じ、ボディをクレイドルの上に載せる。 すると、PCが神姫との接続を認識、神姫管理用ソフトを自動的に立ち上げ、初期設定のセットアップに移行する。 いくつかのメッセージに対し、『はい』の解答を行う。 そして、 「武装神姫・アルトレーネ 初期登録モードで起動します」 神姫の口から出た言葉に、安藤は少し動揺した。 その安藤の目の前で、神姫はぱちりと目を見開く。 大きな瞳に、安藤の顔が映っている。 「ユーザーの登録と認証を行います。ユーザーの名前を音声で入力してください」 安藤が振り向き、美緒に目配せしてきた。 美緒は大丈夫、と小さく頷いた。 「あ……安藤智哉」 安藤は少し緊張している。 誰でも初めての神姫の起動の時は緊張するものだ。 大きな期待とひとつまみの不安。 美緒も、パティを起動したときの緊張を思い出す。 「あんどうともや、様で登録しました。安藤様を何とお呼びすればよろしいですか? 音声で入力してください」 「……マスター」 このあたりの入力は、どの神姫でもそうかわらない。 入力項目について、あらかじめ決めておくように、美緒から言い含められていた。 「最後に、神姫の名前を音声で入力してください」 「オルフェ」 抑揚のない神姫の問いに、安藤は即答する。 神姫は黙り込み、空中を見つめているように見えた。 それも一瞬のこと。 「登録完了しました。 オルフェ、通常モードで再起動します」 事務的な口調のメッセージが流れた後、神姫は一度目を閉じ、全身から力を抜いた。 一瞬の後、再び顔を上げ、ぱちりと瞳を見開く。 そこに宿るのは、感情の色。先ほどの事務的で無機質な視線とは明らかに違って見える。 神姫は、安藤を見上げた。 視線が交わる。 安藤は少し驚いて、肩を震わせた。 そんな安藤に、彼の神姫はにっこりと笑いかける。 「はじめまして、マスター。今日からあなたの神姫になりました、オルフェです。これからよろしくお願いします!」 元気のいい、さわやかな声が響いた。 にっこりと笑うオルフェ。 「ああ、よろしく……よろしくな、オルフェ」 「はい!」 少し戸惑いつつも挨拶した安藤に、オルフェは明るく応えた。 美緒はほっとする。オルフェは明るく元気な性格のようだ。きっと安藤とうまくやれるだろう。 CSCの再設定を否定しておきながら、神姫の性格が良くなかったらどうしよう、と密かに心配していたのだった。 「……パティ」 「はい」 持ってきていたバッグから、美緒の神姫が顔を出した。 美緒はパティを手に取り、机の上に立たせる。 安藤は彼女をじっと見つめた。 「へえ、この子が八重樫の神姫かあ」 「あの、マスター。この方は……?」 オルフェにしてみれば、見るもの出会うものすべてが初めてだ。 彼女は美緒とパティを見比べながら、安藤に問う。 安藤はほほえみながらオルフェに説明した。 「彼女は八重樫美緒さん。オレのクラスメイトで……神姫のことをいろいろ教えてもらっている、先生だ」 「……よろしくね、オルフェ」 安藤にフルネームを(特に下の名前を!)呼ばれるのは、なんだかとても気恥ずかしい気がした。 美緒の挨拶に、オルフェは満面の笑みで応えた。 「それから、この子はわたしの神姫で、パトリシア」 「よろしくお願いします、オルフェさん」 礼儀正しくお辞儀をしたパトリシアに、オルフェも頭を下げた。 「こちらこそ。わたしは起動したばかりなので、いろいろ教えてくれると嬉しいです。パトリシアさん」 「もちろんです。……それから、わたしのことはパティと呼んでください」 「はい、パティさん」 二人の神姫はすぐに打ち解けたようだった。 オルフェの相手をパティに任せ、美緒は安藤に講義を続けた。 神姫の扱い方や、メンテナンスソフトの使い方、装備の使用方法や役に立つ情報サイトまで。 教えているうちに二人とも夢中になってしまい、気がつくととっぷりと日が暮れてしまっていた。 ◆ 「今日はありがとな。助かった」 「ううん。気にしないで」 駅での別れ際。美緒は微笑むことができた。ようやく安藤と二人で話すことにも慣れ、楽しいとさえ感じられるようになっていた。 安藤は、頭を掻きながら、ちょっと照れたような表情で言った。 「なあ……八重樫の……その……ケータイの番号とメアド、交換してくれないか」 「……え?」 「またいろいろ相談に乗ってほしいんだ。……神姫に詳しい姉貴があんなだろ? 周りに詳しいヤツもいなくてさ……だめかな?」 それは願ってもない話である。 安藤智哉の携帯番号とメールアドレスなんて、クラスメイト女子が一番ほしがっている個人情報だ。 それを彼の方から交換して欲しいと言ってきている。 美緒はすでに夢心地ですらあった。 夢遊病者のような手つきで、安藤に携帯端末を差し出す。 意識はふわふわと宙を漂っており、ことの成り行きを全く理解していなかった。 数分後、二つの携帯端末を操作し終えた安藤は、片方を美緒に差し出した。 美緒はまた夢遊病者の手つきで端末を受け取る。 安藤ははにかむように笑った。 美緒もつられて笑ったが、なんだか不自然に不気味な笑いになっていたような気がする。 安藤はそれを気にもしない。 「今度は、八重樫たちが行ってるゲーセンに連れてってくれないか?」 「え、ゲーセン?」 「そう。バトルロンド……オレもやってみようと思うんだ」 屈託なく言う安藤を美緒は見つめてしまう。 もちろん、美緒に断れるはずもないし、断る理由もない。 「うん。わたしでよければ、案内するわ」 「やった」 にっこりと笑うと、彼は身を翻した。 「それじゃあ、八重樫。また明日な!」 「うん、また明日」 彼の背に向かって、美緒は小さく手を振った。 美緒の胸はいまだドキドキが止まらない。 ◆ 夢のような怒濤の一日が過ぎてゆく。 美緒は自室のベッドに寝ころび、天井を見つめながら、今日あったことを振り返る。 安藤智哉は憧れだった。 あんな人が彼氏だったら、きっと素敵だろう、そう思って、遠くから見ていただけだった。 彼の素敵なところを見つけては思いを募らせても、決して手の届かない人だと思っていた。 それが今日一日で一変した。 いま美緒が手にしている携帯端末のアドレス帳、その一番最初に「安藤智哉」の名前が表示されている。 美緒はため息をつく。 これはなんという夢なのだろうか。 このまま安藤と仲良くなれば、親しい友達になれるだろうか。 ひょっとして恋人になんて、なれる可能性もあるだろうか。 軽く頭をふり、そんな妄想を打ち消す。 でも、せめて、今のわたしと陸戦トリオの遠野さんくらいには近い関係になることを望んでも、罰は当たらないと思う。 そんなことを考えていると、 「安藤さんは……美緒のことが好きなのではないですか?」 彼女の神姫・パティが大砲を放った。 美緒はその場で転げ回る。 がば、と上げた美緒の顔は、これ以上ないほど真っ赤だった。 「んなっ……何言っちゃってんの、パティ!?」 「美緒と一緒にいるときの安藤さん、とても楽しそうでしたし……憎からず思っているのではないかと」 「そんなこと……安藤くんがわたしを好きだなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないわ」 そう、あり得ない。 その可能性を、賢い美緒が考えなかったと言えば、嘘になる。 だが、美緒はそれを自ら強く否定した。 彼と自分とでは、何もかも違いすぎるのだ。釣り合いが取れないし、なによりそんなことを考えること自体が厚かましい。 だが、パティは首を傾げる。 どうして自分のマスターは、こう自分を過小評価するのか、と。 神姫である彼女の贔屓目を差し引いても、美緒は美人であると思う。 もっと自信を持てばいいのに。 それに、気のない女の子をわざわざ自宅に呼んでまで、神姫の相談をするだろうか。 別れ際に連絡先の交換なんて、気になる相手でなければしないのではないか? パティは冷静に、そう分析していた。 マスターと神姫の思いは平行線をたどりつつ、夜は更けていった。 続く> Topに戻る>
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朝方の騒ぎも一段落し、浩子サンは渡した原稿持って出版社へ戻った。 にゃー供は浩子サンが連れて行った。なんでも校正だの添削だの、下手なバイト使うよりも優秀なんだそうだ。 …その内バイト代請求しちゃろか。 パットは二度寝。 …食うか寝てるか迷ってるかしかしとらんなあいつは。 神姫ショップをやってる友人曰く、まともに戦えばそこそこのランク狙えるそうだが本当かね? ジュリの手により砲台型神姫からラーメン型神姫に簡易改造されたアイリは、おそらく洗面所で顔の落書きを落としていると思われる。 …油性っぽかったからなー。落ちるのかアレ。 そのジュリはと言えば…どうしたのかやたら静かだ。 さっきアイリにぶっとばされたからその辺で伸びてるのか。 まぁなんだかんだで意味も無く頑丈だし、問題はないだろう。 そして俺はと言えば、なんとなく目が冴えてしまい、以前友人に貰ったビデオを観ている。 数年前の、神姫バトルセカンドリーグの決勝戦の記録映像。 そこには鬣をなびかせたアイツが。 『ジュリ』になる前のとあるサムライが、トロフィーを掲げて誇らしげに笑っていた。 「……そういやアイツ。最近ようやくこんな風に笑うようになったよな……」 それはほんの1年前。その頃を思い出しながら、俺は微睡みの中に落ちていった。 --- 今でも覚えている。 そいつを最初に見たのは、夕日に染まる河原だった。 夕日をバックに、ライオンの鬣みたいな髪をした女サムライが素振りをしている。 ソレが身長15センチほどの人形だと気付くのに若干の時間を要した。それ程の存在感があった。 紅い光に照らされた小さなサムライは、陳腐な表現だが、俺の目にはとても美しく、眩しく見えた。 ……そん時のことは誰にも言ってない。つか、恥ずかしくて言えません。 そんでまぁ、しばらくぼーっと飽きもせず眺めていると、ふと妙なことに気付いた。 (下手糞だな) そう。最初の内こそ気迫に圧倒されて気付かなかったが、下手なのだ。 チャンバラと言えば、精々時代劇くらいしか知らない素人の俺が見て解るほど。 なんというか「ただ棒を振っているだけ」というか、やる気の無い剣道部員が惰性で竹刀振ってるような。そんな感じで。 だというのに、当人の顔は真剣そのもの。よくよく思い返しても珍妙な光景ではあった。 一時間ほど見ていても変化がなかったので、見かねて声を掛けたところ…… 「うるせぇなぁギャラリーなら黙って見てろ。軽そうな頭カチ割るぞ三下。」 ……まぁ、第一印象は壊滅的に悪かったな。 --- その日の夜、原稿回収を口実に飯を食いに来た浩子サンに聞いたところ、そいつは『武装神姫』の侍型なのだと教えてもらった。 …高校の頃の友人がショップを始めたとか手紙で連絡してきたっけな。そういえば。 「……んで、その『ぶそーしんき』っつーのは、そのなんだ、肩に乗ってるグロちっこいのの仲間か?」 「そーよー。可愛いでしょ?」 んふふー♪とか笑いながら、ツギハギだらけの青白い人形に頬擦りをする浩子サン。 その不健康な肌の人形も、くすぐったそうに頬擦りを返していた。 …あとで聞いた話だが、そん時浩子サンが連れていたのは一部で『幻の神姫』と呼ばれたゾンビ型。 ビジュアル面で恐ろしく一般受けしなかったために、最初期の流通分を除いて再販されなかったとかなんとか。 嘘か本当か知らんが、一部の好事家には垂涎の的らしい。 「ほーらモモコ。ご挨拶♪」 『モモコ』と呼ばれたゾンビ型神姫は、サイケに塗り分けられた頭を小刻みに揺らしつつ、カカカカカ…とアメリカンクラッカーでも鳴らしてるような音を立てた。 ……それが笑っているのだと気付くのに数分かかった。 「……か、可愛い、か……?」 …正直、俺にはよく解らなかった。 --- それから数日。夕方になると、俺は川原で下手糞な素振りを繰り返すサムライをぼーっと眺めるのが日課になっていた。 サムライの方もこちらに気付いているようで、しかし、特に話しかけてくることもなかった。 --- 「なぁ浩子サン、神姫ってのは電池かなんかで動いてんのか?」 「ん?うん。詳しいところは私もよく知らないんだけどね。ちょっと充電しなくてもケータイくらいはもつよ。」 …とすると、どっかで充電とかしてんのかな。あいつ。 「……ねぇ慎くん、その子さぁ、マスターとかそばにいなかった?」 「マスター?…所有者ってこと?……そういやそれっぽいのは見たことねぇなぁ。日が暮れたらさっさとどっか消えちまうし。」 「うーん…そっか…あのね?」 浩子サンが言うには、マスターのいない野良神姫ってのも意外に多く、所謂野良動物みたくロクな目に遭わんのだとか。 「…明日あたり聞いてみるか」 --- 更に翌日。 その日のサムライはたまたま休憩しているのか、小さな石に座っていた。 俺もちょっと離れたところに座る。 しばらくぼんやりと眺めていたが、動く気配がないので話しかけてみた。 「なぁサムライ、今日は素振りしねぇのかよ」 「ノらねぇ」 見事なまでに一刀両断。 結局彼女はなんもしないで消えていったので、俺もそのまま帰った。 しかし、それからはちょくちょく会話するようになった。 実は向こうもキッカケを待っていたのかも知れん…てのは自意識過剰なんだろうか。 …実際大したことは話していない。その日の天気とか何食ったかとかどこに行ったとか、そんなことだ。 あとは黙って夕日を眺めたりとかな。 傍から見ればロボット人形相手に世間話ってのも異様な光景だと思うが、不思議と俺自身は変に感じなかった。 多分、対等に話せる相手があんまいなかったってのもあるんだろう。 俺はあえてサムライのことは聞かなかったし、彼女も特に俺のことを聞かなかった。 互いの呼び方にしてもそうだ。 「…しっかし手前ぇ毎日毎日来やがって。そんなヒマあんなら働けよおっさん。」 彼女は俺を『おっさん』と呼び、俺は俺で『サムライ』と呼ぶ。 何故だか解らんが、お互い名乗りもしなかった。 「あんなぁ…ちったぁ息抜きくらいさせろよ。日がな一日埋まらねぇ原稿用紙とにらめっこしてんだこっちは。たまに外出ねぇとマジで腐っちまわ」 ここでサムライは、驚いたようにこっちを見た。 お、意外に可愛い…ってなに言ってんだ俺。 「おっさんアレか。物書きか。」 「まぁそうだ。大して売れてねぇけどな。」 「ふぅン…」 そして、また二人でぼーっと夕日を眺める。 しばらくして、サムライが言った。 「……実はアタシのマスターも元は物書きでな。時代小説とか好きな人だったよ。」 「……そーかい。」 ここで俺は、一瞬迷った。本当に迷った。 聞くべきか聞かざるべきか。 でもな。それでもやっぱり…… 「なぁ……前から気になってたんだけどな。」 「ん?」 「……お前さんのマスターとやらはどうしたんだ。」 サムライが息を呑んだ…ように思えた。 ……そして沈黙。 いいかげん静寂に耐えられず冗談だと言おうとしたら。 サムライが音もなく倒れていた。 SIDE-Bへ
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今のところこのゲームの始め方しかまともなページがないけど許してくれェーッ! このwikiはAC「武装神姫アーマードプリンセス バトルコンダクター」の非公式wikiです。 【公式】:https //p.eagate.573.jp/game/busoushinki/bc/ ※当wikiは非公式の攻略wikiです。情報の妥当性や正確性について保証するものではなく、一切の責任を負いかねます。 ※当wikiを利用することによって生じるいかなる損害も当サイトでは補償致しません。 ※ご利用につきましては自己責任となりますのでご注意ください。 ※また、当wikiおよびwiki管理人は運営様とは一切関係がありません。wiki管理人にゲーム内のエラーなどについて問い合わせないようお願いします。 ゲームに関する問い合わせに関してはこちらから ※文章の著作権は当wikiにあります。内容の複写、転載を禁じます。 ※当wikiで使用している画像、情報等の権利は、コナミホールディングス株式会社に帰属します。 ※ぶっちゃけwiki作成慣れてなさすぎるので協力者募集してます。誰ぞ頼む…